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    kyou99999

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    伏五。Twitterの自我アカにあげていたものを手直しして誕生日祝いにアップロード。
    ※誕生日祝いなのに一応死ネタです。すみません。
    ※五に元彼(指定無し)がいます

    イザナミの諦観「おかえり、恵。ご飯もうすぐできるけど食べてくでしょ」

    扉を開けるとそこには五条悟が仁王立ちをしていた。伏黒が口を開く前に、さも当然かのように伏黒の手を引き、室内へと連れ込む。靴をまだ脱いでいなかった伏黒は、慌てて靴を脱ぎ捨て眉間にシワを寄せたが、すぐに穏やかな表情へと戻った。

    「久しぶりですね。アンタが飯作って待ってるなんて」
    「最近会えてなかったからね。どう?最近。元気してた?」

    伏黒の手を引く五条の表情は、伏黒には見えない。

    「まぁまぁですね。それより俺はアンタの方が心配でしたけどね。会えない恋人より、会える昔の恋人かと。とっくに忘れられたもんだと思ってました」

    五条もまた伏黒の表情は見えないまま、たどり着いたダイニングテーブルの席へと伏黒を強制的に座らせた。
    そしてすぐに五条はキッチンへと足を向ける。

    「辛辣だなぁ。こうやって恵が来るの今か今かと健気に待ってたってのにさ」
    「それに関しては今優越感感じてます」
    「うわ、なんかオッサンくさいこと言うようになったなぁ。まぁ良い歳したオッサンか」

    キッチンのカウンター越しにお互い軽口を叩いているうちに、食卓はたくさんの料理で埋め尽くされていった。

    丁寧に出汁からとった吸い物、よく育てられた糠床の糠漬け。しっかりと浸水させてから土鍋で炊かれた白米。脂の乗ったほっけの開き。味の染みたふろふき大根。三葉の鮮やかな茶碗蒸し。なめらかなほうれん草の白和え。

    「食べなくていいよ」

    この家に来て初めて面と向かって見た五条の顔は真剣そのものだった。

    「これだけ用意しといて第一声それですか」

    伏黒は、はぁと大きなため息をついた。

    「だって恵はまだそんな時じゃないでしょ」
    「もうそんな時ですよ。十分待ちました。この時を」

    伏黒は、まだ不満を訴えようとして手を掴んでこようとする五条の腕を掻い潜り汁物を一口すすった。

    「俺はイザナギの様に逃げ帰ったりしません」

    続いて白米をばくりと喰らう。

    「もう離しませんから」




    イザナミの諦観
    (ヨモツヘグイ)
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    kyou99999

    DOODLE第3回 お題「半分こ」 伏五版ワンドロワンライ「恵さ、前僕にプロポーズした時僕の人生半分背負うって言ってたよね」
    「唐突に何なんですか」
    「なんかふと思い出して」
    「言ってませんね。記憶違いです。あとプロポーズはまだしてません」
    「え~言ったよ~」

    ごろごろとベッドの上を転がる五条の姿は、今から色事に及ぼうとしている人の様には全く見えない。
    伏黒が浴室から戻ってくると、五条は既に全裸にサングラスという傍から見れば異様な格好で布団もかけずにスマホを弄りながら転がっていた。
    その姿は伏黒の欲を煽るというよりも、だらしがないという印象しか与えなかった。

    「ほらあの時さ、人生がどうとか時間どうとかそういうの俺にくれみたいな事なんか言ってたじゃん」

    あの時、とは勢い余って五条に自身の想いを伝えてしまった時のことだろうか、と伏黒は当時の状況を思い返す。

    「まぁ似たような事は言いましたけど」

    伏黒は言葉を紡ぎながら五条が転がるベッドへと腰かけると五条の髪を指で梳く。やっぱりちゃんと乾かしていなかったんだな、と伏黒はひとりごちた。

    「人生半分背負うなんて言ってません。アンタの人生なんて半分にしたところで通常の1人分以上の重さあるんです 1190

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    PAST夏五の匂わせしかねえ伏五
    無名のファイル「恵ってサッパリした食べ物好きって言ってたよね」
     扉を開けると、そこには日常生活ではそうそう拝まない白金に光り輝く頭髪を靡かせた男がいた。睫毛の奥まで純白をたもつ男は、ビニール袋を伏黒に差し出すと我もの顔で靴を脱ぎ捨て家へと上がる。押しつけられた袋の中身を確認すれば、小分けにされた生蕎麦がいくつか入っていた。つゆやネギなども同封されたその袋は、どうやら茹でて皿に盛れば完成という代物のようだ。
    「おそばですか」
    「うん、三人で一緒に食べようー。って、津美紀は?」
    「ちょうど買い物に出ています。さっき出たばかりです」
    「そっか、入れ違っちゃったなあ」
     五条はそういうと座布団を枕にし畳の上にゴロリと寝転がる。以前はなかったえんじ色の座布団は、津美紀が「五条さんが来るから」と言って買い揃えたものである。それまでは来客はおろか姉弟ふたりのみしか存在することの無かった六畳一間は、五条が訪ねるようになってから少々物が増えた。食器類は三人分揃えるようになったし、客用の布団なんてものも用意されている。べつに五条はそんな頻繁に来るわけでもなく、よくて月に二回顔をみせる程度なのだが、窮屈になったアパートは以前より風通しがよくなったように感じる。
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