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    kyou99999

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    伏五。Twitterの自我アカにあげていたものを手直しして誕生日祝いにアップロード。
    ※誕生日祝いなのに一応死ネタです。すみません。

    ペルセポネの帰還「……おかえりなさい。ご飯、すぐできますけど、食べますか」

    扉を開けるとそこには伏黒恵が少しだけ驚いた表情で立ち尽くしていた。がらんとしたワンルームの部屋は、昔と変わらない物への執着の少なさを感じさせる。それでも部屋の中心にあるダイニングテーブルと、ダブルベッドからはかろうじて生活感を感じた。

    「……うん、いただこうかな」

    五条は部屋の中心へとずかずかと足を踏み入れ、ダイニングテーブルの椅子を引いた。そして、ニィと唇の片方を吊り上げ伏黒を挑発するようにガンをつける。

    「恵の手料理なんて久しぶりだね。少しはレパートリー増えた?」

    伏黒は五条の宙のような瞳を真正面から受け止めた。

    「アンタの口に合うかは分かりませんが、一応、新しいものを作ってみようかと思います」
    「へぇ、楽しみだね。じゃあお手並み拝見させてもらおうか」

    伏黒は席に着いた五条を確認した後、部屋の片隅のキッチンへと向かった。
    すぐにキッチンからはいい香りが漂ってきた。五条は上機嫌に鼻歌を歌っている。

    「お待たせしました」

    よほど入念な準備がなされていたのか、程なくしてテーブルの上には伏黒が作ったとは思えない料理がズラリと並んだ。
    ルッコラ、フェタチーズ、オリーブの実、クルミ、ザクロの粒が混ざり合ったサラダ。
    ミートソースやホワイトソース、ジャガイモ、ナスなどを重ねて焼いたムサカ。
    白インゲン豆をメインんいセロリやタマネギ、トマト等で作られたスープ、ファソラーダ。

    「へぇ、洒落たモン作るようになったじゃん」

    向かいに座った伏黒はいつも以上に寡黙に、もとい言葉に詰まったように眉間に皺を寄せている。

    「……最初の食事は大切にしたいと思って」

    ぽつりとこぼした伏黒は、苦しそうに、それでも嬉しそうに、珍しく笑みを浮かべた。

    「他の奴のところじゃなくて俺のところに来てくれて、嬉しいです」

    熱烈な愛の言葉と、食事の提供という行動に五条は堪えきれず腹を抱えて笑った。

    「ハデス様の監視から逃れられる術があったら教えてほしいね」

    五条はザクロを数粒指でつまみ口に含んだ。

    「僕は数カ月しか滞在しないなんてことないから、安心しなよ」




    ペルセポネの帰還
    (ヨモツヘグイ)
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    kyou99999

    DOODLE第3回 お題「半分こ」 伏五版ワンドロワンライ「恵さ、前僕にプロポーズした時僕の人生半分背負うって言ってたよね」
    「唐突に何なんですか」
    「なんかふと思い出して」
    「言ってませんね。記憶違いです。あとプロポーズはまだしてません」
    「え~言ったよ~」

    ごろごろとベッドの上を転がる五条の姿は、今から色事に及ぼうとしている人の様には全く見えない。
    伏黒が浴室から戻ってくると、五条は既に全裸にサングラスという傍から見れば異様な格好で布団もかけずにスマホを弄りながら転がっていた。
    その姿は伏黒の欲を煽るというよりも、だらしがないという印象しか与えなかった。

    「ほらあの時さ、人生がどうとか時間どうとかそういうの俺にくれみたいな事なんか言ってたじゃん」

    あの時、とは勢い余って五条に自身の想いを伝えてしまった時のことだろうか、と伏黒は当時の状況を思い返す。

    「まぁ似たような事は言いましたけど」

    伏黒は言葉を紡ぎながら五条が転がるベッドへと腰かけると五条の髪を指で梳く。やっぱりちゃんと乾かしていなかったんだな、と伏黒はひとりごちた。

    「人生半分背負うなんて言ってません。アンタの人生なんて半分にしたところで通常の1人分以上の重さあるんです 1190