レオナと召使い夢を見ていた。
なによりも大事だと思っていた人と、小さな家でささやかな幸せに笑い合う夢を。
少し手を伸ばせば触れられる距離にある肩が愛おしくて、自分を見つめる眼差しが可愛くて、年甲斐もなく大声を上げて泣きたくなった。だってこれは夢だから。現実とはあまりにもかけ離れた…叶うことのない夢。
彼女の隣で笑いながら、自分はこれが夢なのだと分かっていた。彼女の声を聞くと胸が痛くなるから。彼女の指先が触れると、恋しくて堪らなくなるから。普段の自分なんかかなぐり捨てて、子供のようにしがみついて、置いていかないでくれと泣き叫びたくなるから。
幸せな夢。
覚めないでいられたら、どれほど良かっただろう。けれど無常にも朝はやってくる。明けない夜なんて無い事を、もう自分は知っているのに。自分を置き去りにして朝日は登ると、もう自分は知っているのに。
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