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    turb_shirotae

    @turb_shirotae

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    turb_shirotae

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    本丸に刀以外の付喪神がいっぱい居たら楽しいなって思った。櫛さんみたいなキャラが好き。

    #刀剣乱舞
    swordDance

    本丸には多くのものがいる。本丸には多くのものがいる。
    これは、その中のとあるもののお話だ。

    ふ、と女の目が覚める。窓から外を見れば、まだ太陽が顔を出していなくて。早朝とも呼ばれるこの時間帯に、女は布団の中から這い出た。
    しゅるり、と寝間着を脱ぐ。変わりに鮮やかな着物を身にまとった。部屋の鏡の前で、身だしなみを整える。黒の流れるような髪はほつれ一つなくて。
    満足したかのように女は微笑んだ。

    部屋を出る頃には太陽もだいぶ登りはじめていた。遠くから焼き魚の良い香りがする。きっと今日の朝ごはんは焼き鮭なのだろう。女は浮き立つ気持ちを抑えながら目的地へと向かった。
    目的の部屋へ行けば、そこは既にガヤガヤと騒がしい。女がそっと障子をあけると同時に、部屋の中の視線が女へ集まる。そんな視線すら気にせずに、女は中心にいた少女に笑いかけた。
    「おはようございます、主様」
    そんな彼女の挨拶に、少女は嬉しそうに微笑む。それと同時に少女の隣の青年が嫌そうな顔をした。
    「俺のことは無視?」
    「あら、失礼しました加州殿。見えませんでした」
    「この櫛ほんっと腹立つんだけど」
    「相変わらず短気ですわね」
    女がそう鼻で笑えば、青年こと加州の口角がひきつった。鋭く睨みつけられても女は特に気にした様子も見せず、少女にしなだれかかった。
    「これから女の身支度をするのですが。殿方はとっとと出ていって貰えますか?」
    「俺が主の面倒見るから」
    「はっ。身支度に関して刀が櫛に勝てると思ってるのかしら」
    ちゃんちゃらおかしいわぁ、と言う女に加州は黙りこむ。旗色が悪いのだろう。悔しそうに女を睨みつける彼に、女は勝利の笑顔をうかべた。
    「今は女の時間です」
    女はとっとと加州を部屋から追い出した。


    「清光、また櫛と喧嘩したの?」
    大和守が呆れ顔を隠さずに尋ねた。
    朝から加州は主の部屋に行っていたはずだ。その彼が膨れっ面で大和守の隣で朝食を食べている。だいたい何があったのかは理解した。加州がキッと大和守を睨みつけた。
    「だってあいつばかり主の側にいてズルくない!?」
    あいつ。名前こそは出さなかったが、誰のことを言っているのかはすぐに分かった。
    目の前で味噌汁を啜っていた和泉守が苦笑いを浮かべた。
    「あのおっかねぇ奴に毎日毎日飽きないな」
    俺なら絶対無理、という彼に加州は悔しそうに唇をかみ締めた。

    女は、本丸に多くいるものの一つだった。
    名前はない。これは審神者の祖母が審神者にとあげた櫛だ。赤を基調とし黒の模様が鮮やかに描かれている、そんな櫛だった。
    彼女は審神者の身の回りの世話を行った。幼い頃からずっと母のように見守ってきたのだ、そうなるのも当然で。
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    turb_shirotae

    DONEマフィひすが本編軸ひすを煽り散らかすだけの話。どうせイベント始まったら大量に解釈違いが生えてくるだろうからポイピクで供養(ヒス晶)
    まずは手を繋ぐところから「好きな女性にまともにアプローチもできないだなんて、こっちの俺は随分と可愛らしいんですね」
     自分と同じ顔が綺麗に口角を上げる。俺はその言葉の意味を瞬時に理解して、かぁっと頭に血が上るのがわかった。そんな様子すら目の前の男は楽しげに見つめる。――正直、悔しかった。

     俺と同じ顔の、俺とは異なる人物。この不思議な男が現れたのは昼もだいぶ過ぎた頃。俺は魔法舎で賢者様とのんびり三時のお茶をしていた。お気に入りの美味しい紅茶が手に入ったから、と賢者様を誘ってみれば彼女は嬉しそうに頷く。そんなところも可愛らしくて、俺はほんのりと早くなる脈を感じながらこの時間を堪能していた。……のだが。
     この幸福の時間を誰にも邪魔されないように。そう思って魔法舎の裏でひっそりとお茶会を開いていれば、ふと人の気配がした。魔力は感じられない。なんでこんな所に人間が? 俺は賢者様を不安にさせない程度に気配を警戒する。あ、まずい。こっち来る。そう思ったと同時に草むらの影から一人、人間が現れた。
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