人生とは百年後、この星は滅亡するらしい。
「そんな話あったよね」
「ノストラダムス?」
「俺は樹帆さんの占い以外信じていませんよ」
それはさておき、ノストラダムスですらその予言が外れたこの星の滅亡は、どうやら百年後という。
「しかし百年後か。確実に死んでるねぇ」
「百二十八歳の自分を見てみたい気もしますし、百三十二歳の樹帆さん、百三十一歳の吏来さんと話をしてみたい」
「滅びるんじゃなかったのって?」
案外残っているのかもしれないけれど、百年後よりも早く滅亡しそうな気がしなくもないわけで。いつその時が来てもいいようにどうするか、という話を管理部はしたと誓から聞いた。最後の晩餐は万丈一致で大河の作るご飯だった、と。明日なら確かにそうなるわけだけど、その日は本当に百年後かも知れないし、来年かもしれない。
「いつ滅びるか分からないから面白いと思わない?」
「ん?どういう事?」
「滅びる日が分かっていたら面白くないなって思っただけだよ」
「樹帆さんは色々と楽しみそうですね」
まぁね。生きていると面白くないと思うことは掃いて捨てるほどある。でもそればかりを見ていたらつまらないだろう。だったら面白いと思う人を……まぁ今の会社の人間たちなんだけど、彼らを見ている方がいいし、綺麗だと思う物を愛で、傍に置く方が人生は豊かになる。
「自分もいつかは死ぬ。それを思い出すことは、失うものなど何もないということを気づかせてくれる最善の方法です」
「ジョブスだっけ?」
「そう。なかなかいい事を言っているよね、彼は」
「死ぬ時は失うものなどない、か。そう思える歳の取り方をしたいですね」
「恭耶なら出来そうだけど?」
吏来も出来そうだけどね。まぁいつか滅びるなら後悔しないように生きていけって事かな。