おみくじを引く話「さっむー!」
ぶるりと震えた白い髪から散る様に雪が舞うのを横目で捉えて、ほらな。と傑は笑った。
「だから言ったじゃないか。寒いよって」
「予想より全然寒いわ」
物質の干渉を受け付けない無下限呪術によって、外気温も防げばいいと考えていた悟は自らの手元に視線を落とし、また寒さに震える。
しっかりと繋がれた寒さに赤くなった手を離すことが惜しく、くそうと小さく呟く姿。だから言ったのに。と傑はもう一度声に出さずに思いながら、繋いだ手をダウンジャケットのポケットに押し入れて目的地はそこだと長い階段を見上げた。
正月休みなど呪霊には無い。つまり呪術師にも休みなど無い。
そして新年の挨拶と称して信者が訪れ金を落とす時期でもある為、信仰団体の教祖にも休みなど無い。
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