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    調@大人向け他

    @seitea21

    調(@seitea21) の大人向けや企画系SS置き場です。増えるかどうかは常に未定、塚不二オンリーは確定です。大人向けにつきましては、18歳以上での閲覧をよろしくお願いいたします。

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    お題「春遠からじ」と「赤い糸」で、不二くん受けウェブオンリー様の企画その2、WEBアンソロジーに参加させていただきます。お運びくださった皆さまには申し上げるまでもなく塚不二でおおくりいたします。
    『たとえば今…』八周年の今日にも寄せて。まさに原作と讃えられた歌のごとく、永遠に離れないふたりでいてください。おめでとうございます&ありがとうございます…!

    春遠からじ、赤い糸 赤い糸というものが、手塚にはいまいち分からない。いや、意味としては分かるのだが、つまりは合縁奇縁であり、自分の意志より運命で伴侶が決まるというのはどうにも腑に落ちない。
    「そうかなあ」
     遅咲きの梅の写真を一枚撮って、ほんのりと笑って不二が首をかしげる。
    「たぶんさ、運命ってひとつじゃなくて、たとえば今日、キミはボクに梅が咲いたって教えてくれて、だけどボクじゃない可能性も」
    「ないが」
     なにやらおかしなことを言い出したものだから、思わず食いつき止めてしまった。言葉が強かったかもしれない。反省をしている手塚に不二はまばたいて、くすくすと花より小さくまぶしい笑みをその場にこぼした。
    「ううん、――そうだね。ふふ、ねえ、手塚。キミの赤い糸はさ、きっと。キミの手の中に今あって、キミが自分で結びに行くんだ」
     喜んでもらえるといいね、なんて言うものだから、ついついふたたび食いついてしまう。
    「喜ばないのか、不二」
    「……うん? ……――え」
     不二はほんのり赤らんだ。春を告げる白い花にも映りそうな、ほのぼのとした色だった。
     赤い糸も、こんな色をしているだろうか。すでに指はしっかり結ばれ、永遠に離れないふたりであるだろうか。もしそうならば嬉しいし、それを運命、赤い糸というのなら、この世にあってもいいかもしれない。
     思いながら、手塚は赤に手を伸ばす。「不二」と彼の名前を呼ぶ。しっかり結びつけるのだ。糸が決して、ほどけぬように。
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    調@大人向け他

    PASTご要望いただきながら再々版できなかった一冊目、『とける、ほどける、むすばれる』を期間限定でこちらに再録してみました。
    急ぎ仕事でダーシ等ポイピクに合わせて修正出来ていませんが、このたびはお試しということでご寛恕くださいませ。
    『know,don`t know』『our sleeves,always』(再録)
    『傘ひとつ』(書き下ろし)
    の三本を収録しておりました。お求めありがとうございました!
    とける、ほどける、むすばれる know,don't know
     

     その町は、古い城に見下ろされていた。いつの時代のものとも知れぬ。様式はごた混ぜで、壁は堅牢だが塔は高く天を貫き、大きな窓にステンドグラスは嵌っていない。誰が何のために建てたかも、町民達は知らなかった。
     町にはまた、いわゆる吸血鬼伝説があった。これもいつから囁かれたか、分かるものはいないだろう。生気を喰らい永きを生きる化け物が、城に住まうと言われて久しい。
     国は城を遺跡とし、一切の立ち入りを禁止している。本当のところは誰も知らない。
     
     城の全貌が見晴らせる位置に、大きな親水公園があった。河川や湖の近くにあるようなものではなく、幾多の水路が縦横無尽に走りつくり出されたものだ。町のものには、お堀公園と呼ばれている。
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    調@大人向け他

    DONEお題「春遠からじ」と「赤い糸」で、不二くん受けウェブオンリー様の企画その2、WEBアンソロジーに参加させていただきます。お運びくださった皆さまには申し上げるまでもなく塚不二でおおくりいたします。
    『たとえば今…』八周年の今日にも寄せて。まさに原作と讃えられた歌のごとく、永遠に離れないふたりでいてください。おめでとうございます&ありがとうございます…!
    春遠からじ、赤い糸 赤い糸というものが、手塚にはいまいち分からない。いや、意味としては分かるのだが、つまりは合縁奇縁であり、自分の意志より運命で伴侶が決まるというのはどうにも腑に落ちない。
    「そうかなあ」
     遅咲きの梅の写真を一枚撮って、ほんのりと笑って不二が首をかしげる。
    「たぶんさ、運命ってひとつじゃなくて、たとえば今日、キミはボクに梅が咲いたって教えてくれて、だけどボクじゃない可能性も」
    「ないが」
     なにやらおかしなことを言い出したものだから、思わず食いつき止めてしまった。言葉が強かったかもしれない。反省をしている手塚に不二はまばたいて、くすくすと花より小さくまぶしい笑みをその場にこぼした。
    「ううん、――そうだね。ふふ、ねえ、手塚。キミの赤い糸はさ、きっと。キミの手の中に今あって、キミが自分で結びに行くんだ」
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