所有者「じゃーんちょーん」
「んだよ」
後ろから袖をちっぱられて、苛立たし気に振り返る。
声も姿も違うのに、魂だけは正真正銘の義兄がそこにいた。
「お前、主が見つかってよかったなぁ」
「……」
にんまりと笑って、抱き着いてくる。昔はもっと力強くて、江晩吟が剥がそうしてもすぐにははがれないような奴だった。
しかし今の体は、江晩吟よりも小さくて弱い。それがひどく…悔しくて辛くて……どこか安堵した。
これだけ弱ければ、誰かに頼る事をしてくれる。これだけ頼りなければ、誰もこいつを頼らない。
「もう、俺の事を守ろうとしなくてもいいぞ、どっちつかず」
「はぁ?」
「俺には、ちゃんとあの人がいる」
ぺし!っと額を軽く叩く。
魏無羨は、第三の性が無いのだ。それは、藍忘機もそうらしい。
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