コイハナビ グラード財団療養所の整形外科病棟の廊下は静まりかえっていた。
今日は八月二十五日、日曜日。
夕食の時間は終わり、入院中の星矢は自分の病室のベッドで美穂が来るのを今か今かと待っていた。
星矢は地上を欲するギリシャ十二神のデュオニューソスとの戦いの後、身体中の打撲や骨折が見つかり沙織の勧めもあり入院していた。紫龍や氷河、一輝と瞬も一緒に入院していたが、皆早々に退院して、それぞれ五老峰、シベリア、そして一輝は瞬にも何も言わずに何処かに旅立った。星矢も皆と同じタイミングで退院出来るはずだったが、急に体調不良を訴えた為一人だけ退院が伸びた。
「星矢ちゃん?」
星矢の病室のドアをノックするのと同時に、美穂が入ってきた。
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