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    mmmmomonamo

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    mmmmomonamo

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    第二回のお題「看病」「手料理」「秘密」
    ぜんぶ、ぶっ込んでみました。雰囲気SS。DK🐯🌸

    久々にヘマをした。

    虎次郎は大きく溜息を吐く。
    ここのところ、夜はかなり蒸し暑かった。その為、クーラーをガンガンにつけて寝ていたのだが。

    朝、目を覚ましたら頭は痛いわ鼻は出るわ、どことなく顔も身体も熱い気がしてならない。

    取り敢えず体温計を、と思い気怠い身体に鞭打てばリビングへと向かい、家族に声を掛けようとしてふと思い出した。

    『明日、朝一で本土にいってくるから宜しくね。』

    ああ、そうだった。今日は家に自分一人だった。
    だから夜は薫と目一杯夜更かしして、そして俺んちに泊めて…そうだ、薫…

    ぼんやりとする思考の中、薬箱を漁り目当ての体温計を取り出せば脇の下に挟む。そしてリビングのソファに力無く身を預けた。

    ふと、無意識に握っていた携帯が震え出す。
    脳裏に浮かんでいた人物の名がそこに表示されており、通話ボタンを押すと耳に当てる。

    「おいこじろう」
    いつも通りの薫の声が心地良い、頭痛が少しだけ和らいだ気がした。

    「わり、今日学校休む。」

    何とか声を振り絞って呟く。
    薫が何かを言っていた様だが声色の心地良さだけを感じ、虎次郎はそのまま目を閉じ意識を手放した。





    ―とん、とん、とん、

    不規則な音が室内に響く。

    「ッぅ…あっち…!」

    上擦った、尋常では無い小さな悲鳴が聞こえ虎次郎の意識は一気に引き戻された。

    「薫っ!!」

    その悲鳴の主の名を叫び飛び起きる。
    いつもの、自分の家のリビングのソファー。ただ常と違うのは。

    「虎次郎…なんだ。生きてたか。」

    台詞とは裏腹にどことなく安堵した表情の薫。両手で持ってきたお盆をテーブルに置けば虎次郎の方へ向いて。

    「……食えよ」

    何か言いかけるも出てきたのはぶっきらぼうな一言と、虎次郎の口許に差し出されたスプーンに乗った白い塊で。

    状況についていけず、ぽかんと見つめてくる虎次郎に薫は一瞬首を傾げるも。ああ、と、すぐに何か気付いたように差し出したスプーンを自分の方へと引き寄せ、湯気を立てるそれに息を吹きかけた。

    「…え、薫…おま…何で…」

    「は?俺だって粥くらい作れる、馬鹿にすんな。…味とかは文句言うなよ、葱と生姜は身体が温まるんだ。あと飯食わねーと薬飲めねぇし、いくらお前が体力ゴリラと言えども」

    「まてまてまて!そうじゃない!」

    いつも以上に饒舌な薫を慌てて止めれば不機嫌そうに舌打ちを返される。

    「いや、何で…薫…学校は…」

    虎次郎は視線をさ迷わせて時計を見た。時刻は9:30を回った所。とっくに一限目は始まっている時刻。

    「安心しろ、連絡はしてる。俺も虎次郎も休むって。」

    いや、聞いてるとこ、そこじゃねぇんだよなぁ。口には出さず苦笑いを浮かべれば、むすっとした薫に再度口許へスプーンを押し付けられる。
    それは程よく冷めた生温いお粥だった。

    「とりあえず食え!」

    ほら、あーん。と言う声に誘われて口を開き迎え入れると舌に広がる葱と生姜の独特の辛み、そしてお粥には通常有り得ない、ガリっとした歯ごたえ。

    「……どうだ、食えそう、か?」

    不安そうな表情で薫が覗き込んでくる。
    葱も生姜も入れすぎだし火の通りが甘くて米にはまだ芯が残っている、正直食うには…。
    黙り込んだ虎次郎の渋い顔に薫はますます不安げに歪む。
    虎次郎も、せっかく薫が作ってくれたのに悪い気がする…と思った瞬間。

    ガバッと薫が虎次郎に抱きついた。

    「!?」

    「寒いんだろう?」

    予想だにしない薫の行動に固まる虎次郎の背中へ片手を回し優しく何度も摩ってくる、普段の薫からは決してしてくれない所業。

    まあ、今日くらいは堪能してもバチは当たらないだろう。ん、寒い…、と虎次郎も薫の背中に腕を回して擦り寄った。本当は寒さなんて無かった、なんて秘密だ。


    結局、身体が温まるから全部食え、とガリガリのお粥は全部薫の手によって虎次郎の口へと全て運ばれ、完食させられた。

    その後は薬を飲まされ、(寒くも無いのに)寒い寒いと言う虎次郎は此処ぞとばかりに薫へと擦り寄り、夜通し甘えまくったらしい。
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    mmmmomonamo

    TRAINING第二回のお題「看病」「手料理」「秘密」
    ぜんぶ、ぶっ込んでみました。雰囲気SS。DK🐯🌸
    久々にヘマをした。

    虎次郎は大きく溜息を吐く。
    ここのところ、夜はかなり蒸し暑かった。その為、クーラーをガンガンにつけて寝ていたのだが。

    朝、目を覚ましたら頭は痛いわ鼻は出るわ、どことなく顔も身体も熱い気がしてならない。

    取り敢えず体温計を、と思い気怠い身体に鞭打てばリビングへと向かい、家族に声を掛けようとしてふと思い出した。

    『明日、朝一で本土にいってくるから宜しくね。』

    ああ、そうだった。今日は家に自分一人だった。
    だから夜は薫と目一杯夜更かしして、そして俺んちに泊めて…そうだ、薫…

    ぼんやりとする思考の中、薬箱を漁り目当ての体温計を取り出せば脇の下に挟む。そしてリビングのソファに力無く身を預けた。

    ふと、無意識に握っていた携帯が震え出す。
    脳裏に浮かんでいた人物の名がそこに表示されており、通話ボタンを押すと耳に当てる。

    「おいこじろう」
    いつも通りの薫の声が心地良い、頭痛が少しだけ和らいだ気がした。

    「わり、今日学校休む。」

    何とか声を振り絞って呟く。
    薫が何かを言っていた様だが声色の心地良さだけを感じ、虎次郎はそのまま目を閉じ意識を手放した。





    ―と 1693

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