未定「…先週も、会えるかと思ってた」
「っ」
しまった。つい零してしまった言葉のせいでこちらに向けられたその目は、驚いたように見開かれてそして小さく笑ったような気がする。
「そうか、それはすまないな。…えっと、知り合いがメジャーリーグのいい席がとれたからって急遽ゆずってくれて。家族と行ってきたんだ」
少しだけたどたどしく続けた彼は、おどけたように―。
「もしかして寂しかったのか?」
だけど。冗談なんだろうけどそれでも冗談なんかにはできない。
「うん、寂しかった。言ってくれてたら良かったのに。お礼にお菓子とか作っちゃったのに渡せなかった」
だって、あの二人とでしょう。
向こうに見える、あの銀色の髪をした煉獄さんと同じくらい見目麗しい男の人と。…もう一人の、まるで妖精みたいな人間離れした可愛らしさと綺麗さと快活さを持った女の人。
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