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    Yuna_uzn210

    @Yuna_uzn210

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    Yuna_uzn210

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    トワイ/ライトパロ🔥⚡♀の書きかけです
    最初から書いてないので多分意味不明
    なんでもありの方はよかったらどうぞ
    (💎🎴♀も少しあります)

    未定「…先週も、会えるかと思ってた」

    「っ」

    しまった。つい零してしまった言葉のせいでこちらに向けられたその目は、驚いたように見開かれてそして小さく笑ったような気がする。

    「そうか、それはすまないな。…えっと、知り合いがメジャーリーグのいい席がとれたからって急遽ゆずってくれて。家族と行ってきたんだ」

    少しだけたどたどしく続けた彼は、おどけたように―。

    「もしかして寂しかったのか?」

    だけど。冗談なんだろうけどそれでも冗談なんかにはできない。

    「うん、寂しかった。言ってくれてたら良かったのに。お礼にお菓子とか作っちゃったのに渡せなかった」

    だって、あの二人とでしょう。
    向こうに見える、あの銀色の髪をした煉獄さんと同じくらい見目麗しい男の人と。…もう一人の、まるで妖精みたいな人間離れした可愛らしさと綺麗さと快活さを持った女の人。

    …ばかみたい。なんで出会ったばかりの人に、こんな嫉妬をしているんだろう。
    惨めでみっともないと思うけど、だけどあんな綺麗な人たちといるならわざわざ私なんかに声をかけてこなくていいのにって勝手すぎる八つ当たりをしてしまう。

    「あぁ、それなら俺は―」

    なぜか言いかけた言葉を止めて、ハッとしたように真剣な表情になる。

    「…いや、その…。もしかして、俺に作ってくれてたのか?君が?俺のためだけに、作ってくれてたのか」

    『作ってくれてた』?
    不自然な言い回しに引っかかりはしたけど、なんだか腹が立ってたからついムキになって続けてしまう。

    「べ、別に…。大したものじゃないから全然いいんだけど。いなかったからクラスメイトに渡しちゃったし。
    ただ、私、は―」

    前に、美味しそうって褒めてくれてたから。だからもしかしたら、少しでも喜んでくれるかもって。そうなったら嬉しいなって思い浮かべながら作ってた。

    付き合ってもないくせに、告白する勇気もないくせにそんなこと言えなくて俯いたら彼の手がそっと私の腕に触れる。

    「すまなかった。まさか俺のためにそんな嬉しいことをしてくれてたなんて、知らなくて。
    知ってたら誘いを無理にでも断って学校に来てたんだが」

    「え…?」

    気遣うように、それでいて柔らかな笑みを浮かべた彼は私の目を覗き込みまるで慈しんでくれてるみたいで。

    「もし許してくれるなら、また今度作ってくれないだろうか。そうしたらその日は何があっても、雪でも嵐でも君に会いに来る」

    「えっと…、そんな、許すとか大げさなことじゃない、よ…?
    全然、いつでもいいし。ていうか、やっぱり言うほど美味しくないかもだし」

    「でも君が作ってくれたなら何でも嬉しい。
    二人に自慢してもいいか?」

    多分、十中八九『家族』のあの二人のことだろう。だけど、そんな―

    「だ、大丈夫なの…?あの女の子、恋人とかなんじゃ―」
    「恋人?恋人って、炭子のことか?
    炭子は、宇髄と恋人同士だが…」
    「…へ?」

    たしかに、言われてみれば距離が近いとは思っても腕を組んだりはしてなかったかも。
    ていうか、よくよく思い出してみればもう一人の宇髄さん?との距離の方が圧倒的に近かったような気さえする。


    「あ、そっか…。う、うん。じゃあ、今度また作ってくるね」
    「!ありがとう!そうだ、今度君も一緒に行かないか?きっと二人も喜んで―」

    言いながら彼が二人がいた方を振り向く。
    だけどいつの間にかすぐ後ろにいた二人の姿に驚いて心臓がまろびでそうになってしまった。

    「っ、早いな」
    「だって、そろそろ杏寿郎さんがガールフレンドを私達に紹介したいかと思って」

    どこか得意げに首を傾げてみせる彼女は、隣の男の人の腕をとったままこちらににっこり微笑みかけてくれる。

    「こんにちは、はじめまして。えっと、我妻善子さん?だよね。善子って呼んでもいい?
    私は竈門炭子で、こっちは宇髄天元。杏寿郎さんとは義理の兄弟ってかんじなんだ」

    人懐っこい笑顔を浮かべる彼女の隣で不機嫌そうにしている彼にたじろぎそうになるけど、そんなのおかまいなしと言わんばかりに弾んだ声が続けて聞こえてくる。

    「私、ずっと善子とお話してみたかったんだ。でも杏寿郎さんが全然紹介してくれないから!」

    完璧な笑顔に愛嬌をのせた彼女に惹き込まれるように目が逸らせなくなって。

    「野球観戦に一緒に行こうって言ってるのが聞こえて。
    それもいいけど、今度みんなでやらないか?いつも私たち3人でやってるんだけど」

    …うん?3人で?…え、どういうことだろう。

    「う、うん?どこかのチームに入ってるってこと?」

    「ううん!だって3人いればなんとかなるだろ?ピッチャーとバッターと守備1人!楽しいから、善子も今度一緒にやろう!」

    なんだろう。言ってることが理解できなくて固まってしまう。
    何かの隠語?守備一人って、どういうこと?

    思わず視線を逸らした先、よりによって目があってしまった宇髄さんが、ふんと鼻を鳴らして見下ろすように睨んでくる。

    「俺たち、お前が思うよりずっと速いんだぜ?」

    意味が分からなくて固まる私に、今度は笑いかけてくる。

    「なんだ、こんな奴を引き入れようってのか?
    …ま、意味も分かんねぇなら下手に俺たちには近づかな―」

    「ちょっと宇髄さん!」「宇髄!」

    怒ったような二人の声が聞こえると同時に、煉獄さんの腕が腰に回されているのに気付いて。

    「すまない、そろそろ行こうか。次の授業が始まる時間だ」

    「ごめんな、善子。この人も悪い人じゃないんだけど…。また今度、お話しような」

    頷くと同時に今度は手を引かれて、彼に腰を抱かれたまま歩き出す。

    「すまない、怒ってるよな?」
    「え?いや、全然…。よく分からなかったけど、でも私なんかが割って入ってくるのってやっぱり嫌だろうなって思ったから…」
    「違う」


    「違うんだ、君は何も悪くない。

    嫌な思いをさせてごめんな。…また、声をかけてもいいか」

    「も、もちろん!さっきのお菓子のことも、後で都合がいい日教えてね!」

    目を細めた彼に、そのまま流れるように頬にキスをされる。

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