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    李南(りな)

    @r1na_54

    表に上げにくいR-18小説や作業進捗等
    現在GS4・玲マリ多め

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    李南(りな)

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    一流大学生玲太×社会人マリィ(はばチャ編集部就職)。残業続きで疲れたマリィが玲太くんにたくさん癒される話。このところわたしも何かと心労が続いているので、スパダリ玲太くんに癒されたい……
    もう偶HP展示期間のうちに何とか書きました。

    ##ときメモGS
    #玲マリ
    mariRei

    わたしの旦那様がスパダリ過ぎる件(はぁ、今日も残業して疲れた……)
     時刻は夜八時。二時間程残業してからオフィスを出ると、外はすっかり真っ暗になり、周囲のビルではネオンが輝いている。煌びやかな光景に目を奪われるが、こんな時間まで仕事をしていたことを改めて思い知らされ、冷たい夜風が残業続きで疲れた身体に染みる。
     高校を卒業して、わたしははばチャ編集部に就職した。高校生の頃にはばチャの記者活動のアルバイトをしていたことがきっかけで、はばたき市の色んなところへ取材に行き、自分の書いた記事がたくさんの人に読まれることに充実感を覚え、これを自分の仕事にできたらと考えた。記者活動を通じて、はばたき市の魅力をもっとたくさんの人に伝えたい――。
     自分のやりたい仕事ができて嬉しいけれど、当然ながらアルバイトと正社員では全く違う。仕事量も責任感も大幅に増えて、好きだけでは務まらない厳しい世界なのだとすぐに思い知らされた。入社して半年が経ち、さらに色々と仕事を任されるようになったので、やりがいを感じつつも、週末にはもうヘトヘトだ。今すぐにでもスーツとヒールを脱いでベッドに飛び込みたい。
    (でも、やっと週末で、玲太くんに会える……!)
     幼馴染で、恋人で、結婚を約束した大好きな彼。やっと週末になって、彼の家で一緒に過ごせると思うと、疲れて重い足取りも少し軽くなった。

     玲太くんとは高校は同じはばたき学園に通ったけれど、卒業後、玲太くんは一流大学に進学したため、就職するわたしとは別々の進路になってしまった。
    「おまえ、就職するのか?」
    「うん、記者活動のお仕事、本格的にやってみたくて」
    「そっか……」
     就職することを玲太くんに打ち明けると、やはり同じ進路に進めないと落胆していた。同じ進路に進めないとなれば、高校生の頃より一緒にいられる時間は当然少なくなる。勿論それはわたしも寂しく思う。
    「あっ、将来玲太くんとお店をやるつもりが無いとかじゃなくて……」
     それに、玲太くんには将来自分の目で見て納得した物を扱う店を持つ夢がある。そして、その店をお嫁さん、つまりわたしと一緒にやるのもまた夢だと言っていた。わたしが就職すればその夢が叶わなくなるのではないかと心配するかと思い、就職はするけれど、将来的には玲太くんと一緒に店を手伝うつもりであることも伝えた。記者活動の仕事ではばたき市の魅力を伝えることも、玲太くんと結婚して一緒に店をやるのも、どちらもわたしにとって大切な夢だから。
    「そうだよな。おまえにだって、やりたいことあるよな?」
     と、玲太くんは切れ長の目を細めて、ふわりと優しく包み込むような笑顔をわたしに向けた。まるでわたしの全部を受け入れてくれるみたいでホッとする。
    「確かに自分の店を持って、おまえと一緒にやれればって考えてるけど、おまえのやりたいことを諦めさせてまで強要するつもりはない。それよりも、自分のやりたいことをやってキラキラしてる方が俺の大好きなおまえだ。だから、頑張れよ、はばチャ編集部の仕事」
    「うん……! ありがとう、玲太くん」
     玲太くんがわたしの意思を理解し、尊重してくれたことが嬉しくて、彼の腕の中に飛び込むと、しっかりとわたしを受け止めて抱きしめてくれた。
    (この人を好きになって良かった……)
     大好きな温もりに包まれて心からそう思った。
     それから、わたしたちは小学校と高校の通学路でもあった坂道を今も毎朝一緒に歩いている。はばチャ編集部へスーツで出勤するわたしと大学へ私服で通学する玲太くんという違いはあるけれど、玲太くんと手を繋いで坂道を上るこの時間が今まで以上に特別で大切な時間になった。そして、坂道を上り切った先でそれぞれ編集部と大学へ行くために別れるのだが、玲太くんはいつも「今日も仕事頑張れよ」とにこやかな笑顔で声をかけてくれる。その言葉だけで、わたしも今日も一日仕事頑張るぞとモチベーションが上がる。
     また、わたしが社会人で玲太くんが学生である現時点ではわたしの方が稼いでいる状況なのだが、それについても玲太くんは「将来的には俺が食わせてやるからいい」と気にしていないようだった。パートナーの女性の方が高収入であることを嫌う男性もいると聞いたし、男としてか弱い女の子を守るべきだという考えが強く、わたしをリードしたいタイプである玲太くんもどう思うか心配であったが、心配する必要は全く無くて、心からわたしの仕事を応援してくれている。そんな玲太くんをますます好きになっていて、二人の時間もより愛おしく感じるようになった。違う進路に進んで、高校生の頃程会えなくて寂しい時もあるけれど、思いの外良かったことも多くて、玲太くんとの結婚に向けて幸せな日々を過ごしている。

     玲太くんを想いながら編集部から駅の方へ歩いていると、ちょうどその玲太くんから電話がかかってきた。
    「もしもし、玲太くん?」
    「はい、おーれ。今、電話大丈夫か?」
     高校生の頃から変わらず「おーれ」と伸ばす言い方をする玲太くんにクスッと笑いつつも、電話の向こうから聞こえる彼の声が弾んでいるようで嬉しくなる。
    「うん、大丈夫。ちょうど編集部を出たところだから」
    「そっか。俺もちょうど夕飯できたとこ。今から駅まで迎えに行くから気を付けて来いよ」
    「ふふっ、ありがとう。また後でね」
     大学の講義が早く終わり、先に帰宅して夕飯を作っていたと言う玲太くんの声から何となく美味しそうな匂いがしてきたような気がして、彼に会うのがまた楽しみになった。
     編集部の最寄り駅から電車に乗り、はばたき駅に着き、バッグからパスケースを取り出した。はば学も家の近所で徒歩通学だったので、社会人にして初めての電車通勤になり、パスケースも就職祝いに玲太くんからプレゼントされたものだった。オレンジ色でかざぐるまの模様が入っていて気に入っている。このパスケースで改札をくぐり抜けると、改札前で迎えに来てくれた玲太くんの姿を見つけた。
    「よっ、お疲れ」
     玲太くんもすぐにわたしに気づいて手を振ってくれた。
    「ふふっ、ただいま」
     笑顔でそう返して玲太くんの元へ駆け寄り、手を取り合った。それから行きと同じように手を繋いで、駅を出てあの坂道を下って玲太くんの家へ向かう。離れていた時間を埋めるように、互いにその日あったことを話すのもまた楽しみだった。

     編集部を出てから一時間後、二十一時頃に玲太くんの家に着いた。
    「ただいま」
     家族の前で結婚式を挙げてから一緒に住もうと玲太くんが言ってくれたので、今はご両親がイギリスにいて一人暮らししている玲太くんの家で過ごすことが多くなっている。だからか、わたしも玲太くんと一緒に家に入ると、いつの間にか自然と「ただいま」と言うようになっていた。玲太くんの家に来過ぎて図々しくなったかと聞くと、玲太くんは「おまえももう風真家の一員だろ?」といたって真剣な顔でそう言って、わたしを赤面させたことを思い出す。
    「腹減ってるだろ? 夕飯食べようぜ」
     玲太くんはわたしの手を取って食卓へ連れて行った。食卓には玲太くんが作った手料理がたくさん並んでいて、どれもわたしの好きな物ばかりだ。
    「わぁ、すごい……!」
    「講義早く終わって時間あったから、おまえの好きな物たくさん作った。でも、びっくりするのはこれだけじゃないぞ?」
    そう言って、玲太くんは冷蔵庫から何かを取り出した。
    「あっ、それ!」
    「ほら、おまえ、これ好きだろ?」
     得意げに玲太くんが取り出したのは洋菓子店アナスタシアの季節限定のさつまいもモンブランだった。昔から焼き芋が好きなわたしはさつまいものスイーツも大好きで、このさつまいもモンブランもこの季節には欠かせないものだ。玲太くんもそれを知っていて、買って来てくれたなんて……。
    「嬉しい! 買って来てくれたの?」
    「ああ。おまえの喜ぶ顔、見たかったから。想定以上の笑顔で合格」
    「もう……ふふっ」
     さらりと甘い言葉を囁く玲太くんにまた赤面させられながらも、わたしを喜ばせようとしてくれた彼の優しさが嬉しくて頬が緩んでしまう。
     今日も残業して帰ったからお腹が空いていて、玲太くんの作ってくれた手料理も、買って来てくれたさつまいもモンブランも美味しくて、いつも以上に食が進んだ。大好きな人と一緒に美味しいご飯を食べるって幸せだ。
    「ごちそうさま。後片付けはわたしが……」
    「いいって。それより先に風呂入って来いよ」
    「えっ、でも……」
     ご飯は玲太くんが用意してくれたので、後片付けはわたしがやろうと申し出たが、玲太くんはいいからとわたしをバスルームへ行かせる。
    「風呂も用意できてるからさ」
    「何かいい匂いするね?」
     バスルームに近づくと、いい匂いがしてきた。リラックスするフローラルの香りだ。玲太くんがバスルームのドアを開けると、湯船にバラのバスボムがいくつも浮いていて、バラ風呂のような贅沢な空間になっていた。
    「えぇっ! お風呂もすごい!」
    「リラックスできると思って、これも買っておいた。ゆっくり入れよ」
     と、玲太くんはふわふわした肌触りのいいバスタオルをわたしに渡してバスルームを出て行った。ご飯だけでなく、お風呂もこんな素敵な用意をしていてくれたなんて……お言葉に甘えて、ゆっくりとお風呂に浸かってリラックスした。いい香りに包まれて身体の疲れが取れていく。
     その後も玲太くんはわたしの髪を乾かしてくれたり、肩をマッサージしてくれたりで至れり尽くせりだった。
    「ありがとう、こんなに色々してくれて」
    「いいんだ。好きでやってるから気にすんなよ」
     こんなに色々してもらえて、こちらが申し訳ないと思うくらいだが、好きでやっていると言うように玲太くんは本当に楽しそうな様子だ。
    「でも、どうしたの? 今日、何かあったっけ?」
     それでも、玲太くんがいつにも増して色々と尽くしてくれた理由が思い当たらない。今日はわたしの誕生日でも何かの記念日でもなかったはずだが。
    「さっき電話した時、おまえ疲れた声してたからさ」
    「えっ……⁉」
     確かに編集部を出た時、残業して疲れたなぁと思っていたけれど、電話の声だけで気づかれてしまうとは……わたしのどんな些細な変化でも見逃さない玲太くんに改めて驚かされる。
    「だから、仕事で疲れたお嫁さんをたっぷり癒してやりたいと思って。それが旦那の役目だろ?」
     穏やかな優しい笑顔と甘く蕩けるような声で玲太くんはそう言った。こんなに優しくて素敵な人がわたしの幼馴染で恋人で旦那様だなんて幸せ過ぎる……! まさにスパダリと言える彼に胸がきゅううんっと甘く高鳴って、また彼を大好きになった。
    「玲太くん、ありがとう……大好きだよ」
     玲太くんを大好きな気持ちが溢れて、自ら玲太くんの頬にチュッとキスをした。普段は恥ずかしくてわたしからキスをすることはまだ少ないけれど、今日はこんなにもわたしを優しく癒してくれた玲太くんにわたしもきちんとお礼の気持ちを伝えたかった。
    「俺もおまえが大好きだ。愛してる」
     玲太くんも嬉しそうに笑って、わたしにキスを返してくれた。愛情のこもった優しいキスにまた愛おしさが込み上げる。こうして、玲太くんの大きな愛情を感じている時が一番癒されて幸せを感じる。
    「じゃ、そろそろ寝るか。おやすみ」
    「うん、おやすみ」
     おでこにおやすみのキスをして玲太くんは眠りに就いた。こんなにも玲太くんに愛されて、至れり尽くせりですごく幸せだったけれど……でも、だからこそ、もう一つだけワガママ言ってもいいかな……? 
    「あの、玲太くん……」
    「ん? どうした?」
     玲太くんのパジャマをきゅっと軽く掴む。
    「えぇと、その……もうちょっと甘えてもいい?」
     頬を赤らめて、上目遣いで誘うようにおねだりをした。もっと玲太くんの愛が欲しいと。
    「いくらでもどうぞ。おまえが欲しいだけしてやる」
     優しくもどこか興奮したようにそう言った玲太くんに、わたしもこの後の行為を期待してゾクリとした。
    「今日は優しくする」
     その言葉通り、玲太くんはゆっくりと時間をかけてわたしに触れて、優しく愛してくれた。穏やかで満たされた幸せな夜になった。
    (玲太くんとこんなふうになれて、わたし、すごく幸せだ……)
     こんなふうに玲太くんにたっぷり癒されて、愛されると、わたしも来週からまた仕事を頑張ろうと思えるし、次の週末に彼と過ごせる夜がまた楽しみになる。
    (今度はわたしが玲太くんを癒してあげたいな……)
     次の週末は給料日だし、奮発して美味しいものをご馳走するのは勿論、今夜のお礼にわたしからも玲太くんがもっと喜んでくれそうなことを何か――そんなことを考えながら、彼の腕の中で幸せな眠りに就いた。
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