恋愛フィルターこの人こんなにかっこよかったっけ?
カーテンの隙間からは爽やかな光が差し込み、チュンチュンとスズメが鳴いている。これが所謂『朝チュン』というやつなのだろうと考えながら安原は、目の前の恋人の寝顔から目が離せなかった。
昨晩、処女とかいうものを喪った。いや、失くしたとか奪われたかのような言い方は良くない。安原の方もとてもその気だったので、放り投げたとか明け渡したとか、そういう初体験だった。
いっぱいいっぱいでなにがなにやら、目をまわしているうちに済んでしまったけれど、とりあえず腰やら尻やらに鈍痛があるので夢ではないだろう。同じベッドで恋人も眠っていることだし。
――そう、その恋人が問題なのだ。
寝乱れてあちこちに跳ねている色素の薄い髪の隙間から覗く、見慣れたはずの滝川の顔を至近距離からまじまじと見つめる。僕の恋人はもしかしてもしかするとものすごくかっこいいんじゃないだろうか?頭が恋で茹だった安原は本気でそんなことを考えてしまうのだ。
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