9月新刊書き下ろしサンプル・銀博書き下ろし
ドクターはシルバーアッシュと揃いの指輪を持っている。いつもチェーンを通して首から下げ、時折一人か、シルバーアッシュと一緒の時に手袋を外した指に嵌めてみて、ふわりと微笑んで外して、綺麗に磨いてまた首にかけて、と、それはそれは肌見離さず大事にしていた。シルバーアッシュも似たようなものだ。
二人でドクターの自室に戻ったあと、いちゃいちゃする最中に、そんなドクターの姿を見て今日もシルバーアッシュは喉を鳴らす。聞きつけたドクターが顔を上げた。
「何かいいことあった?」
「お前がそうして指輪を喜んでくれるから、嬉しいだけだ」
ぽすんと尻尾も跳ねさせてから、隣のドクターの肩を引き寄せて寄り添えば、ふわりと笑うその様も愛しい。
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