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    すず@ブルロ沼

    @cobaltnight0803

    凛潔にどっぷり沼って妄想小ネタを書き殴る場所。
    潔右固定。逆リバ、潔右以外の攻の他カプが地雷のため自衛してます。

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    すず@ブルロ沼

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    お題:ツンデレ
    ツンデレrnちゃんを落としたい!とisgに相談されたbcrとcgr(rnちゃんほとんど出てきません)

    ##凛潔

    「凛を落としたいんだけど、どうしたら良いと思う?」

    今回の三人の集会は、そんな潔のとんでも発言から始まった。
    青い監獄の施設メンテナンスのため数日間メンバーは強制的に休みとなり、皆久々の外の世界に飛び出して思い思いに過ごしていた。
    そんな中、潔からトンデモ相談が飛び出し、声がかかった蜂楽と千切と相談主の潔といつもの三人は手頃なカフェに集まることになったのだ。

    「ん〜、念のため確認ね! 落としたいって言うのは恋愛的な意味であってる?」
    「あってる」

    蜂楽にそう尋ねられ、ケロッとした様子で注文したラテを啜る潔を呆れたように千切が見つめる。

    「お前、マジで言ってんのか……」
    「マジマジ大マジ! いやー、色んな手を試しては見たんだけどさ、凛の奴だいたい『あ? ふざけんな殺す』て感じでぜーんぜん効かねぇの! だから二人に何か良いアドバイス貰えねぇかなーって思って」

    たはは、と苦笑いを浮かべる潔を二人は何とも言えない気持ちで見つめてくる。

    「にゃるほど……、潔はあれで全く凛ちゃんが自分に興味を持ってないと思ってるのかー」
    「え? 何の話だ?」
    「蜂楽よせ、自覚がない奴に何言っても無駄だ。……とりあえず潔の話を聞こうぜ」
    「んー、それもそうだね。……ねぇ、潔。今までどんな方法でアタックしてみたの?」

    何かを言いたげな蜂楽と千切ではあったが、潔の様子を見て口には出さず、ひとまず潔の話を聞き出そうと決めたようだ。

    「凛みたいな捻くれたタイプには回りくどいことしたってしょうがないと思ってさ、直球で行った」
    「どんな感じで?」
    「んー、何かにつけて『お前のそういうとこ好きだな』って言って、腕とか腰に抱きついてみたり頭撫でてみたりした」

    そう尋ねられ、思い返しながら答えれば蜂楽と千切は呆れとも哀れみとも言えるような複雑そうな表情を見せる。それはおそらく潔に向けたものではなく、この場にいない凛への同情的なものだった。

    「わぉ、潔ってばだいたーん」
    「あー、それがあっての『ふざけんな殺す』発言ね。そりゃ言われるわ」
    「え? 俺もしかして何か間違ってた?」
    「うーん、間違ってると言えば間違ってるし、間違ってないと言えば間違ってない、て感じかな〜」
    「どっちだよ……」

    心の底から理解してない様子の潔に二人は仕方ない、と顔を見合わせる。

    「まー凛ちゃんはデレが分かりにくいツンデレさんだからね、ここは俺らが協力してあげましょーか」
    「この様子だと永遠に進展しないままの可能性もあるしな」

    そいつは色んな意味で御免被るぜ、と千切が漏らしているの聞き、潔は二人の言葉の真意までは汲み取れなかったがとりあえず協力してくれるということがわかり、内心ほっとする。

    「じゃあ潔にもできる!ツンデレ凛ちゃん攻略方法研究しようの会、結成〜!」
    「なんだそりゃ」
    「潔くらいの鈍ちんにも出来るように考えるんだよ」
    「あれ、俺遠回しにディスられてる?」
    「そんなところも含めて潔らしいよってだけだよ」

    何やら上手くはぐらかされた気はしたが、すぐに本題に入る。

    「まずは文明の利器を使って、先人の知恵を借りちゃお!」

    そう言って蜂楽はスマホを取り出し、『ツンデレ 攻略法』で検索をかける。すると、ずらりとその手の記事が並ぶ。適当に良さそうなページをスクロールしていく。

    「あ! これとか良さそう!」
    「ん? どれどれ」

    蜂楽が表示したページを見ようと潔と千切も画面を覗く。そこには『ツンデレとは』という說明から特徴、そこから連なって攻略法までが続けて記載されていた。

    「ほうほう、まずはツンデレを理解して、そこから攻略していこうという感じか」
    「恋愛もやっぱりおべんきょーが大事ってことかぁ……」

    俺苦手ー、と苦い顔をする蜂楽に潔も苦笑いを浮かべる。そのままページを読み進めていく。

    「えーと、まずはなになに……、『ツンデレとは、普段はツン、と冷たく無愛想な態度だが、二人きりになった時たまにデレ、とした甘えた態度を見せてくる。そういった二つの異なる態度を見せてくる人を指す言葉』だとよ」
    「俺、凛とたまに二人になるけどそんな態度一度も取られてないぞ……? やっぱツンデレとは違くない?」
    「大丈夫大丈夫、凛ちゃんは立派なツンデレさんだよ!」
    「んー??」

    疑問符を浮かべる潔に対して、蜂楽と千切は気にせずページを読み進めていく。

    「次はツンデレの特徴か。どれどれ……」

    ツンデレタイプの特徴として『素直じゃない』『弱みを見せない』『プライドが高い』など、色々な項目が挙げられている。

    「あ、確かに凛に当てはまる項目が結構ある。弱み見せないしプライドがエベレスト級に高いけど、あれって結局サッカーに対して真面目にストイックに努力してるからなんだよな」

    特徴の項目を見て凛に当てはまる部分をすらすらと解析していく潔。そんな様子を見て蜂楽と千切はひそひそと言葉を交わす。

    「そこまで凛ちゃんのこと分かってるのに、肝心なとこだけが分かってないのが何とも皮肉だねぇ」
    「こりゃ凛のやつ、相当に苦労してたんだな。ま、あいつの場合は性格に癖がありすぎるのも原因だけど」

    そんな二人を余所に潔は真剣にページを読み進めていた。

    「そんなツンデレタイプは心理的に『他人に心を開けない』『自分の感情を見せることに抵抗がある』『寂しがり屋』な傾向がある。……前の二つはめちゃくちゃ当てはまりそうだけど、寂しがり屋とはちょっと違うような……?」
    「いや! 凛ちゃんは間違いなく寂しがり屋だよ!! 本当の一匹狼タイプならあんなに潔の隣を陣取ろうとしないよ」
    「えぇ……?? ……確かに俺の側にいることあるけど、それは俺が他の奴らより物怖じしないし、ある程度凛のこと理解してて都合が良いからじゃないのか」
    「お前ほんっっっとにツンデレどころか男心をわかってねぇな」
    「えぇぇえ……、俺も男なのに……?」
    「ちぎりん、このまま潔に付き合ってたら今日だけじゃ終わらないから! 次いこ!」

    潔の戸惑いをそのままに、更にページを読み進めると、本題の『ツンデレタイプの攻略法』の欄に突入した。

    「お、やっと本題!えーとまずは『ゆっくり関係を深める』」
    「これはもう十分だろ。……むしろ凛の方はとっとと進みたくて仕方ないだろ」
    「え? 千切何て?」
    「何でもねぇよ。ここはもう十分過ぎるほど深めたろ。次!」

    そう言って次の項目に移る。

    「次は『こちらからアプローチ』恥ずかしがり屋のため、最初は素っ気ない態度をされても諦めないで。焦らず関わり続けてって……もうやってるし」
    「次ー!!」
    「ほい!『ツンもデレも受け入れよう』……これはもう出来てるのでは?」
    「ん〜、凛のことならそりゃ何だって受け入れるつもりだけど……」
    「何なら潔はツンの部分だけでもちゃんと受け入れてるよね。あ、でもこの『ツンデレな態度やギャップはいじるのはNG! 恥ずかしがり屋なので心を閉ざしちゃうかも』ていうのは気を付けたほうが良いかもね。潔、時々こういうのしれっと言っちゃいそう」
    「……でも今の凛ってツンか、それを通り越した怒りしか見たことない気がする。デレはどこに……」
    「次!!!」

    雲行きが怪しくなりどんどんと進めようとするが、ここで蜂楽が残念そうにトーンを落として告げる。

    「潔、ちぎりん。残念なお知らせ。次でラストみたい」
    「は!? マジかよ」
    「そ、それで最後はなんて書いてあるんだ……?」
    「んーとね……『一対一でコミュニケーションを取ろう』人前や第三者がいたら気を張ってしまうので、二人きりでリラックスした状態で話をしよう、だって……」
    「……」
    「……もう、実践済だな」
    「なんなら、潔くらいしか凛ちゃんはコミュニケーション取ろうとしてないしね」

    はは、と乾いた笑いが出て、念のためページをスクロールしてみるが、『距離を縮められるよう頑張って!』という締めの言葉で終わっていた。

    あまりにも成果が得られず、少しの間無言の時間が過ぎる。そこにぽつりと潔が呟いた。

    「……やっぱ凛は俺なんか興味ないってことなのかなぁ」

    凛がツンデレというのにはイマイチぴんと来てはいないが、攻略法と言われる行動を無意識とはいえ行っていて、それで今まで効果なしなのだ。
    これはもう脈なし、と見たほうが良いのか。そんな事を潔は考えていた。そう簡単に諦めるつもりはなかったが、こうも自分の行動が成果を成してないとわかるとさすがにへこむ。ぐるぐるとする感情に耐えきれず、潔はテーブルに突っ伏してしまう。

    「潔……」

    蜂楽と千切には絶対にそんな事はないと確信があるのだが、こればかりは凛本人の口から聞けない限り、今の潔の不安要素を取り除くことは出来ないだろう。かと言って、あの凛が素直にそれを言えるか、と尋ねられればそれもなかなか難しそうで。

    「ん? 蜂楽?」
    「んー、相談に乗ったからにはちゃあんと解決したいんだよね、俺」

    他でもない相棒の為だしね、と言って蜂楽はスマホを少し操作し始めた。何度か画面をタップした後、そのままテーブルに置く。その様子に千切も何をしようとしてるのかなんとなく察して見守っていた。

    「ねー、潔」
    「……ん?」

    蜂楽に声をかけられて、突っ伏していた顔を上げる潔。

    「凛ちゃんのこと、好きなんだよね」
    「……ん」
    「凛ちゃんのこと、諦めんの?」
    「……わかんねぇ。諦めたくない。けど、こんなに色々やってても凛にその気が無いのなら、一方的に押し付けても迷惑なだけかな、とも思ってる」

    うー、と再びテーブルに突っ伏してしまう潔に、よしよし、と千切がいつものように頭を撫でてくる。

    「だいじょーぶだよ潔。ほら、絵心も言ってたでしょ。『真に戦う人間にのみ、運は平等に降り続ける』って!……サッカーとはちょっと違うかもだけど、潔はちゃんと戦ってるよ。そんな潔をちゃーんと運命の女神様は見てくれてるからさ」

    そう言ってにこ、と微笑む蜂楽に、突っ伏していた潔は顔を上げて恥ずかしそうに、でもふにゃりと笑みを浮かべる。

    「ははっ、ありがとな蜂楽、千切も」
    「なーに言ってんの! 困った時はお互い様ってね!」
    「そういうこと。とりま、何か追加で頼もーぜ。甘いもん食べたくなってきた俺」
    「お!いいね、潔もほら何か頼も!」
    「おう」

    メニュー表貰ってくるわ、と千切が席を外した所で、蜂楽はそっと潔に内緒話をするようにそっと囁く。

    「大丈夫だよ潔。あと少しだけ待ってれば、必ず運命はお前の元にやって来るからさ」
    「……?」

    告げられた言葉がいまいち飲み込めず疑問符を浮かべる潔だったが、蜂楽はそれ以上何も言わずにっこりと微笑むだけだった。



    そんなやり取りをして、追加で注文したデザートや軽食を堪能して他愛もない会話をしていた三人だったが。

    そこへ、先程蜂楽が告げた運命の正体が姿を現した。

    「……オイ、クソ潔」
    「え、あ、り、凛……!?!? おま、なんでここに……!?」

    突如現れた凛の姿に動揺が隠せない潔。蜂楽と千切は特に驚きもせず凛を迎える。

    「あ、凛ちゃん。やっほー」
    「チッ、余計な真似しやがって……」
    「えー、むしろ感謝して欲しいくらいだよ」
    「そうそう。ここのカフェ代くらいは出してくれてもバチは当たらねぇくらいにはな」

    ニヤリと笑う二人に、凛の舌打ちが再度響いたが、すぐに取り出した財布からお札を取り出してテーブルに叩きつけた。

    「……これで貸しはなしだ」

    それだけ告げると凛は潔の腕を掴み立ち上がらせて、その場を去ろうとする。

    「えっ、え、ちょっと待ってくれよ凛……!!」

    慌てて荷物を掴んで凛に引かれるまま、潔は足を進めようとする。

    「じゃーね潔。また監獄で!」
    「次会う時々に湿気たツラしてたら承知しねーぞ!」

    二人の言葉に反応する余裕もなく、凛と潔の姿はあっという間に視界から消えていったのであった。

    「あいつ、随分多く置いていきやがったな」
    「ありゃ、これは凛ちゃんなりに感謝してるって捉えて良いのかな」

    そう言って蜂楽はテーブルに置きっぱなしにしていたスマホの画面を確認する。
    そこは「凛ちゃん」と表示されたかなり前に終了した通話画面が映し出されている。画面を閉じればその前に表示していたトークアプリの画面が表れ、このカフェの地図が送信された画面が映された。

    「しかし、これでようやっとあいつらも落ち着くのかね」
    「そうでなきゃ、俺等の頑張りを返して欲しいよねー」

    にゃはは、と笑う蜂楽だったが、すっと目を細めて何かを噛みしめるように言葉を紡ぐ。

    「潔を悲しませるような事をしなければ、それで良い」

    そう言う蜂楽を見て、やれやれと千切はそっとため息をつく。


    次に会う時はどんな顔して潔は現れるだろうか。
    これからの展開を想像して、蜂楽と千切はとりあえずもう一杯ドリンクを注文しようと決めた。
    それはもう、とびきり甘いのを。


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