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    saga1913

    @saga1913

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    saga1913

    DONE【さまイチャ3展示作品】
    せっかくの猫の日なので(?)リハビリに書いていたサマイチ短編をアップしました。猫のような犬のような二頭身ケモ刻さんと子育てがひと区切りついた一郎くんの日常。世界観ガバ設定なので広い心で読んで頂けますと嬉しいです🙏
    さまときとあさ 洗ったばかりの白いカーテンを引くと、雲ひとつ無い青空が広がっていた。目覚めは良好。音を立てないように気をつけながら、するりとベッドから抜け出す。太陽に暖められたフローリングを裸足のまま踏みしめると、じんわりとぬくもりが伝わってきた。キッチンの近くまで来ると、昨夜仕込んでおいたホームベーカリーから香ばしい香りが立ちのぼっていて、思わず笑みが溢れてしまう。

     冷蔵庫から貰い物のベーコンを取り出して熱したフライパンに滑らせると、やがてパチパチという音と共に透明な脂が染み出してきた。まだ赤みが残る部分を揚げるように火を通して、ホームベーカリーから取り出した焼きたてのパンの上に敷く。鼻歌を歌いながら脂を残したフライパンにタマゴを割り入れると双子の黄身が姿を見せた。こっちはあいつの分にしてやろうと、ベッドで眠っているだろう同居人を思い浮かべながら、出来上がった目玉焼きをベーコンを敷いたパンの上に乗せた。冷蔵庫にしまっておいたサラダと牛乳、そして少し迷ってから自家製のキャロットラペを盛り付けて、朝食は完成。
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    saga1913

    DONE開眼聞いて居ても立ってもいられなくなって書いたNB
    咲けよ徒花彼岸花「――助けてやろうか」

     ビル群に阻まれ四角く切り取られた夜空を見上げる。かろうじて覗く星々の輝きは人工の灯りに阻まれて朧気だ。地元の空も美しいとまでは言えなかったが、ここまで味気ないものではなかったはずだと柄にもなく郷愁に浸っていると、びゅうと一陣の風が吹き抜けた。視界の端で赤色の布がたなびく。

     繁華街の騒がしさを抜けた先にある高架下は不気味なほど静かだった。日中は工事をしていたらしく端材や重機が佇んだままで時折電車が線路を走る音はするものの、それ以外に人が近づくような気配はまったくない。隣に座る男から聞くに、イケブクロの街はお世辞にも治安が良いとは言えず、夜に出歩く人間は少ないらしい。きっかけは忘れたがこちらに来たばかりの頃、野宿をしようとしたところチンピラどもに絡まれたと話したことがある。よくも財布が無事だったとのたまうものだから、こいつで払ってやったのだと赤い布をたなびかせれば半ば呆れたように肩を竦めていたのだったか。思えば面倒を見ていたヤツを散々に叩きのめされて、怒りのまま拳を交えた相手と今やこうして肩を並べて戦っているのだから、人生とは分からないものだ。
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