暗闇のなか、響く音 あの大きな手のひらで掬いとられると動けなくなってしまう。これから起こるであろう事に期待が膨らんで、そして願った通りに叶えてくれるものだから、心も体も喜んでしまう。
それが日本号の癖なのだと気が付いた頃には、もう遅かった。真正面から己に両手を伸ばし、俺を見ろとばかりに私の視界を奪う。いいか、と視線だけで問うて、顔を寄せる。無抵抗は是として唇を落とし、深く注ぐべく舌を差し込む――…口付けを交わす時の、お決まりの所作である。この『お決まり』によって、無抵抗どころか、もはや顔に手を添えられるだけで受け入れるようになってしまった私は、情けないようでいて、差し込まれる愛情を感じていたくもあり、なかなか複雑な気持ちだ。
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