ジャガー進捗をテストがてら 気が付かれている。これは、失態だ。なんと無様なことだろう。だとしたら、今まで以上に隠さねばなるまい。神である彼らに、清い彼らに、己の欲を知られるのは嫌だった。なにせ、この本丸だけで己だけが汚れているような気になってしまう。
ただ幸いであるのは、当の日本号が言及してこないことだった。こちらの疑念を嘲笑うかのように、何もしてこない。何も言ってこない。他の刀にも困った主だとこぼしている様子もない。初期刀である加州にさえ漏らしていないようだ。かといって、こちらの欲を見過ごす事はしない。空想に耽っていると、決まって視線を感じる。あぁ、またやってるなと呆れられているのかもしれない。けれど、何もしてこない。何も言われない。
何となく弱味を握られたような気がしている。
勤めて『日常』を守ろうと決意したのはこの頃からだ。