“ウィルがデート後に浮かない顔をするようになったが、上手くいっていないのか”と、オスカーとアキラに同時に尋ねられ、フェイスは目を丸くした。
「そうなの? 俺といるときは普通だけど」
「毎回しょげてるから、喧嘩でもしてんのかと思ったけど……違うのか?」
「違うよ。ていうか、そんなの初耳だし、こっちが驚いてる」
「……なら、別の原因があるんでしょうね」
うーん、と腕組みして考え込むサウスの二人に、フェイスも眉間に皺を寄せた。
空いた時間に一緒にいたり、休みを合わせて遠出したりしていたが、ウィルはいつも通りの笑顔を見せてデート中は楽しく過ごしていたので、帰った後のウィルがそんな状態だとは思いも寄らず、青天の霹靂だった。
楽し気にしていた姿は偽りだったのだろうか。
フェイスはしばらく考えたが、思い当たる節が無いので、直接ウィルに聞くことにした。
ウィルを部屋に呼び出して自分のベッドに並んで座らせる。表情を伺うが、フェイスの目にはいつも通りのウィルが映る。
自分の顔をまじまじと見詰めるフェイスに、ウィルは首を傾げて「どうしたの」と聞いた。
「デートの後、浮かない顔してるって聞いたけど」
「え、誰に?」
「オスカーとアキラ。デート楽しくない?」
笑っている顔しか記憶にない。
大抵、甘いものを食べたり、ショッピングしたり、特別なことはしなくても一緒にいて和やかに過ごしていた。
ウィルはフェイスの言葉に驚いた様子だった。
「そんなことないよ! そんなこと、なくて……むしろ、楽しいから、離れるの寂しいなって……タワー内にいるんだからいつでも会えるって頭では分かってるんだけど……」
段々と声がつぼまっていく。カーっと顔を赤くして、「俺、そんな分かりやすい顔してたかな……」と呟いた。
それを聞いたフェイスは意外やら安心したやらで脱力した。
「……凄いね、ウィル恋してるみたい」
「……本当にね」
しみじみと同意するウィルに腕を開くと、素直に身を寄せて来た。
フェイスの腕の中で安心したように息を吐くウィルに愛しさが募る。
「もう一緒に暮らす? 部屋借りようか」
「ふふ、それもいいね」
軽やかな笑い声が愛しくて沢山キスをした。
しかし、これもまた帰り際の寂しさの原因になるのだと思うと、甘酸っぱい初恋のようで、フェイスの胸にも同じものが芽生える気配がした。
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