ソ「デカラビアはまだ元に戻らないのか…」
デ「クックックッ…このまま元に戻らなければ、おまえとの間に子を成すのもアリかもしれんな」
その場にいた一同が吹き出す
ソ「なっ、何冗談言ってるんだ…!!」
デ「冗談なものか。いいか、俺とおまえ、たまたま同性同士だったからそういう話が出なかっただけだ。もし元から異性同士だったら…間違いなく選択肢としてあったはずだ」
ソ「そ、そうなのか…」
バルバトスやパイモンの方を見るソロモン
バ「…確かに、あっただろうね」
パ「…ああ、そうだな」
ソ「そんなあっさり…」
パ「ダムロックとマーグラは…あの二人は間違いなくアルスノヴァ血統の持つ衝動によって行動し、そして出会い、子孫を残した…あの血統にはそういう風になる仕組みが備わっているんだ」
バ「各地に散らばるアルスノヴァ血統はより強い血統を遺すために惹かれ合う…異性同士なら、そういうことになるのはまぁ自然な流れだね…というか、後継ぎの話になったとしたら第一候補としてデカラビアの名前が挙がっていただろうね」
デ「そういうことだ。条件的には何も間違ってはいない」
ソ「条件はそうでも…!その、気持ちとかそういうのは…」
バ「いや待った、いつ元の体に戻るかもわからないんだ。もし子供がお腹にいる時に男の体に戻ったら…子供もデカラビアもどうなるか見当もつかない」
パ「そうだな、妊娠期間は長い。その間に元に戻る可能性は十分ある。それを考えたら…やはり危険すぎるな」
デカラビアは少ししゅんとしたような様子で顔を伏せた。
デ「…そんなことはわかっている。だが…この体になって、この体でしか出来ないことがあるのに、何もできない。それが俺にとっては酷くもどかしくてたまらんのだ。時間を無為に過ごすのは俺が一番嫌いな事だからな…」
バ「…そもそもだけど、君の…その、体は準備ができているのかい?」
デ「…月経なら毎月きているし、ユフィールに診断してもらってそういった機能については問題ないと言われている。…だからこそ軽率な事はするなと釘を刺されたがな、ククク…」
ソ「そうだよ、そんな軽率な事はダメだ…リスクが高すぎる」
デ「軽率とはなんだ、俺は…この体になってからずっと可能性のひとつとして考えてきた。そして覚悟も決めている。適材適所というやつだ。一番適している者がその役目を果たすことになんの問題がある?」
ソ「そんな…たまたま体がそうなったから、たまたま俺と同じ血統だったからって、オマエがそんな危険を冒す必要はないんだぞ…」
デ「…ではこう言ったらどうだ。『俺はおまえの子が欲しい』」
一同「「「!!!???」」」
デ「それともあれか、俺のような前科者とは番にはなれないか…おまえには王としての立場もあるしな」
ソ「いやっ…そんな、前科者とかそういうのは関係ないけど…!」
デ「ふん…では単純に俺とは嫌、ということか」
ソ「そんなわけ…っ」
デ「先程言った言葉は…わりと本心だ。おまえなら…いや、おまえとが良いと…男の体であった時とは違う思いが生まれたのは、紛れもない事実だ……だが無理強いはできん…それは俺の流儀ではない」
ソ「デカラビア…オマエ、そんな…真剣に…」
バ「…ソロモンはどうなんだ?血統を持つものとしてそういう衝動というか欲求はあるのかい?」
ソ「…ないといえば嘘になる…かな…じいちゃんがそうだったように、俺もどこかで…探していたのかもしれない…デカラビアのことは…大切に思ってるし…前科者だから嫌だとかそういうのは無いけど…でも、やっぱり危険なことは出来ないよ。もし本当に子供ができても、オマエも子供も失うかもしれないと思うと…俺は、どんな姿でもオマエに側にいてほしいと思ってるから…」
おお、という顔をするバルバトスとパイモン
デ「…そうか、ではこれからもこの体を持て余すとしようか」
ソ「オマエの血統の力は、子供を産む以外にもきっと必要になることがあるはずだ…だから、焦らないでくれ」
デ「焦ってなどいない…!…もうこの話は終わりだな、俺は戻る」
足早に去っていくデカラビアを見送る3人
パ「いやぁ…ありゃ完全に…」
バ「そうだな…」
ソ「え?何、二人とも…」
しばらくしてデカラビアの体は元に戻りましたとさ