ウィルフェイとどんぐりなお子様たち 前略、ウィル・スプラウトとフェイス・ビームスは紆余曲折を経て無事に恋人となりました。
そして今日は彼らが付き合って一ヶ月の経ったある日。
恋人のABCのABを早くも終えた二人が取ろうとしている行動は、皆様のお察しの通りのもの。
「それじゃあフェイスくん!今日はキミに気持ちよくなってもらえるよう、精一杯頑張るよ!」
「アハ、それはドーモ。ま、俺も男相手はウィルがハジメテだから。無理せず楽しんじゃお?」
彼らはローション、ゴム、浣腸などのメイクラブセットの揃えられた、ウエストセクタールーキールームのベッドの上で微笑み合っていた。
今回の情事に誘ったのは、以外にもウィルの方からだった。
フェイスが意外だね、やっぱウィルもソウイウの興味あるの?と、からかいながら問うと
「フェイスくんに、もっと俺を意識してほしいんだ。」
と、真剣な顔で答えられた。
正直なところ、フェイスはもう情事なんてしなくても満足というほどにウィルに惚れていた。
あんなにいた彼女たちは全員振って、頬に手のひらをぶつけられた回数は数えられないほどだった。
余談だが、その時の頬の腫れ具合は半端なく、あのジュニアすらもフェイスを心配するほどだった。ま、ウィルにも心配してもらえたのはぶっちゃけ約得だったけど。
兎に角、ウィルにそんなことを言ってもらえたフェイスは、外面ではわからないものの歓喜に震え、すぐさまジュニアとアキラも介し、サウス、ウエストルーキーの一日だけの部屋交換を提案した。
二人はフェイスがそんなことを提案したことに疑問を持ったような表情をしながらも、それを快く快諾してくれた。今頃はグレイから借りたボードゲームや日本のバトルモノのコミックで盛り上がっていることだろう。
「男相手がハジメテ…ふぇ、フェイスくん、ちなみにそれって女の人とは…」
「アハ、なーいしょ。それに、今の俺の本命も、俺とヤるのもウィルなんだから、そんな質問は無粋なんじゃないの?」
俺の言葉を聞いたウィルは顔をボッと赤くして、「そ、そうだよね…!ご、ごめんねフェイスくん!…は、早くシちゃおっか!」と、真っ赤の顔を手で仰ぎながら、恥じらいながらゴムとローションを手に取り笑う。
あーほんと…カワイイ。
俺が男を好きになるなんて、そんなの一生想像できなかった。
けど、HELIOSで過ごすうちに…自然と、こんなにも、さらにウィルに惹かれてしまった。
神様ってほんとにやさしーね。
こんな俺を、最愛のウィルと、いまから愛し合わせてくれるのだから…
「よっ…と……フェイスくん、ゴムの付け方ってこれであってるかな?」
「………ちょっとまって、ウィル?あれ、もしかしてウィルってそんなに無知だったわけ?…あのね、ゴムを付けるのは挿れる側だけで」
「え?挿れるよ?」
………
「…っは?」
俺がウィルの言葉に思わず固まると、ウィルは何がおかしいんだというような顔をしながら微笑み、
「だから、俺が抱くよ。フェイスくんは、俺が抱く。」
そのピンク色のゴムに包まれた巨大なモノを、これからすることへの期待なのか、その可愛らしい顔に付いてるものに似合わないモノに、高く大きく起立させた。
「なぁアキラ、そういえばなんであいつら急に部屋交換しようだなんて言い出したんだ?アイツらが同級生っつーのは聞いてたけど、そんなに仲良かったか?」
ここはサウスセクターのルーキーの二人共用部屋。
本来はウィル・スプラウトと鳳アキラの二人のものだが、今日は西のDJの提案した企画により、その部屋にはウィルの代わりに西のスパークツンツンボーイ、ジュニアが、その部屋で遠慮なく寝転がりながら、フェイスの想像通りにグレイから借りたコミックをアキラと共に読んでいた。
だからこれは、この部屋にジュニアが来てからコミックの内容を語り合う以外の初めての談笑だったかもしれない。
アキラはそんなジュニアの質問に首をかしげて答える。
「あ?そりゃあお前、アイツらが付き合いだしたからに決まってんじゃん。」
「ふーんなるほどな………は?……はぁぁあああああああっ!?」
サウスルーキー部屋に響き渡ったジュニアの声に、アキラは耳を手で塞ぎ「だー、うるっせぇ!お前まさか、フェイスから聞いてなかったのかよ?」と再び首を傾ける。
「聞いてるわけねぇだろんなこと!…あ、けどそういや…アイツこの前頬真っ赤に腫らして帰ってきて、理由聞いたら付き合ってた女全員フッたって…」
「ぶはっ!なんだよそれ!つまり女にビンタされまくったってことかよ!うわ腹いてー!なぁ、そん時の写真とかねぇの?」
「あるわけねぇだろ!まじで洒落にならねぇくらい真っ赤だったんだぞ!トマトかと思っちまうくらいだ!」
「ぶは…トマト……!フェイスがトマト…!ぶはは!」
「てんっめぇ…!俺が本気で心配してやったくらいなんだぞ!……ん?けどなぁ、なんでわざわざ付き合っただけで部屋交換する必要あんだ?一日だけならする必要なくね?」
「……ガキンチョお前、それマジで言ってんのか?」
「はぁ?どーゆー意味だテメェ!」
「あーいや、やっぱガキはガキだな!って思ってよ!」
アキラが揶揄うように意地悪く歯を見せて笑うと、ジュニアは堪忍袋の緒が切れたように顔を真っ赤にし、こぶしを突き出す。
「クッソ野郎…!動くな!一発ぶん殴んねぇと気が済まねぇ!」
「だーれがんなこと言われて止まるかっつーの!あ、あとお前、多分ウィルとフェイスが今やってんのはよ」
「十中八九、セックスだろ。」
「ピ!!!?!?!」
「あっ、おいテメェなに電気漏らしてんだよ!これグレイに借りたもんなんだぞ!焦がしちまったらどーすんだよ!」
「おっ、お前が変な事言うからだろ!!」
先程の何倍も顔を真っ赤にしたジュニアが猛犬のように吠えても、アキラはにやっと煽るように笑い、意地悪な目でジュニアに声をかける。
「はぁー?まさかお前、セックスって単語程度でビビってんのかよ!ほんっとにガキだなー!」
「てめぇぶっころ…!……ん?けどなぁ、今の話おかしくないか?アイツらって男だろ?その…セック…しゅ…するにしてもよぉ、両方男だったら成り立たねぇだろ。」
「ん?あー、確かにな……ちょっと調べてみっか」
「…調べてみるって……変なもんでてきたらどうすんだ……ピャッ!?」
「っへ、へー…お、男同士のはケツ穴でヤんのか…」
「い、意味わっかんねぇ!クッソ、なにキモいもん見せてくれてんだよ…!」
「…いやけどさ、それってウィルたち今……これヤってるって、ことだよな…?」
「……え?……はぁあああっ!?」