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    @BanriSuzu
    BMB用隔離アカウント。成人腐。ドギー総受。(世界線は全部別)
    色々書きます。

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    odgr

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    アロhrです。2023年の4/14動画より。書きあげてからうっかり一年寝かせましたがむしろ2024誕生日後には出せなくなりそうなのでここで原稿中の落書き欲と一緒に成仏させます

    ##アロヒロ

     日の高いうちに始まった誕生日パーティは、いつの間にか夜空に星が瞬くまで続いていた。
    はしゃぎ疲れて、うとうとと部屋の隅に身を寄せ合う子どもたちに、アラナが優しく毛布をかけてやる。
     古い木の椅子に背を預け、片膝を座面に立てて座っていたアーロンが、口元に運んでいたグラスを静かに置いた。黙って部屋中に視線を巡らせるアーロンに、テーブルの片付けを始めたアラナが答えてやる。
    「ルークなら、外に行ったよ。風に当たってくるって」
    「何も言ってねえだろ」
    「どうだか」
     黙ったままの今の視線が、誰より雄弁だったことに弟は気づいていないらしい。楽しそうな様子を隠しもしないアラナを睨みつけ、アーロンは椅子から腰を上げた。
     静かな夜だった。半分だけ開けた窓から忍び込む夜風はひんやりとしている。ハスマリーの夜は、昼よりもぐっと気温が下がる。
     外に出ると、ひとりでふらふらしている姿はすぐに見つかった。家の前の開けた場所で、アーロンに背を向け、きょろきょろと辺りに視線を巡らせている。
     砂塵を含んだ夜風が足元を駆け抜け、コートの裾を靡かせている。どこかふわふわとした足取りは、酔っていると言うには不思議なほどに軽く、舗装が間に合っておらず凸凹のある土の地面を楽しそうに渡っている。
    「おい」
     呼びかければ、軽やかなステップがふっと止まった。満天の星空の下、振り返る。
    「あ。ルークだ」
     嬉しそうに言った顔に、アーロンの喉に言葉が詰まる。
     ゆったりと話す声が少し舌足らずに聞こえるのは、眠りの淵でゆらゆらと佇んでいるからだ。アーロンはため息をついて、日焼けした髪を掻き上げた。
    「……ガキは寝る時間だろうが」
    「おれの方が、ルークより年上じゃないか」
    『ルーク』が、不服そうに唇を尖らせる。それからすぐに何かに思い当たったように、首を傾げた。
    「あ、でも。もしかして、今日で同い年……? どうなんだろ?」
    「……詐欺師のヤロウか……? またぞろクソダリィ催眠なんざ仕込みやがって」
    「もしかして、あのきれいな男の人の話? その人に、大人のおれが頼んだんだよ」
    「クソ犬の方だったか畜生」
    「いぬ?」
    「聞き返すな。何でもねえ」
     不思議そうに尋ねる顔に、アーロンは目の前で鬱陶しそうに手を振る。
    「ルークにさ。誕生日おめでとう、ってどうしても言いたくて」
    「……聞いてるよ」
    「うん。大人のおれもきっと、同じように言ってるよな」
     素直に頷く。くるりとアーロンに背を向け、思い切り左腕を空に伸ばした。家の灯火と星の光を受け、小さなネームプレートが夜の闇に微かな光を宿している。
    「地面も揺れないし、すごく静かで、星がよく見えて……こんな夜、いつぶりだっけ。これだけ静かなら、きっとみんな、よく眠れる。今日はきっと、いい日だったんだな」
     星を受け止めようとするように、指先をいっぱいに開いた手を上げたまま振り返る。少し高い位置にあるアーロンの頭に伸ばされた左手で、腕時計に触れた腕輪が小さく鳴った。
    「誕生日おめでとう、ルーク。また言えてよかった」
     必要もないのに背伸びをした、覚束ない指先がアーロンのこめかみにかかる髪を撫でる。
     命のはじまりの日を祝う、同じ言葉。
     記憶を失わずに同じように時を過ごせていたら、きっと同じ顔、同じ声になった。
     当たり前だ。同じ人間なのだから。
    「……同じ……、か」
     呟いてしまったのは、確かめたかったからなのか、それとも。
     声にしたことを悔やむように、冷たい夜気に長く吐いた息が震えた。
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    💖🙏💖😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭🙏
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    odgr

    SPOILERチェズルク版ワンドロワンライ第38回提出作品です。お題は台詞お題の「逃がしませんよ」で。
    暮らドメバレ、チェとルで某スタイリッシュな軟体動物たちでインクを塗り合うシューティングアクションで遊ぶ話です。今回はチェズルクっていうかチェ+ルというか……チェはハイ〇ラントの面白さに気づいたら大変なことになると思う。
    「やばっ」
     現実でルークが発した声に、画面の中の小さな悲鳴が重なる。
     まっすぐに飛んできた弾丸に貫かれ、携帯ゲーム機に映っていたキャラクターが弾け飛び、明るいパープルのインクがステージに四散した。
    「フフフ……。逃がしませんよ、ボス」
     リビングのテレビの画面では、楽しそうに笑うチェズレイが操るキャラクターが大型の狙撃銃を構えている。スナイパー役のチェズレイが睨みを効かせている間に、テーマパークを模したステージがチェズレイのチームカラーにどんどん塗り替えられていく。スタート地点である自陣に戻され、ルークは焦りと感嘆とを長い溜息に変えて唸った。
     夕食後、ルークがリビングで一息ついていた時、そわそわとした様子のチェズレイにゲームに誘われた。一週間ほど前にルークがチェズレイの前でやってみせたゲームをルークの不在時に練習したので、一緒にやって欲しいという。海生軟体動物と人型を自由に切り替えられるキャラクターを駆使して広大なステージ中を駆け回り、カラフルなインクを射出する様々な種類の武器を用いて、ステージのフロアをチームカラーで侵食しあい陣取り合戦をするその対戦アクションゲームを気に入ったようで、仲間たちと同時プレイが出来るように携帯ゲーム機本体とソフトまで買ってきたという気合いの入れようだった。携帯ハードの方は既にルークの自宅のWi-Fiにも接続してあり、インターネットを介した同時プレイの準備も万端だった。
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    odgr

    SPOILER2014.4.14開催、ウィリアムズ親子オンリーイベント「My Shining Blue star」での無配ペーパーでした。雨で外に出られない休みの日、父さんの身の上話したり『父さんの父さん』の話をしたりする親子の話です。実際こういうシーンがあったら、父さんは『ヒーローを目指すきっかけになった人』みたいな感じで己の父親像を語ってくれそうな気もしつつ。市民を守って殉職した警官だった、みたいな…………
    水底の日 雨樋からひっきりなしに流れ落ちる水が、排水溝に飲み込まれていく。
     あまりにも量が多すぎて溢れそうになっているのか、空気を含んだ水が排水管の上で波を立て、とぷとぷという音がしている。まるでプールに潜っている時に聞くような音に、ルークが唇を尖らせた。
    「午後だけど、全然止まないね……」
     カーテンを開けて確かめるまでもない土砂降りの音に、ルークは八つ当たりのようにソファのクッションに背中から重さを預ける。雷こそ鳴っていないが、春の空は昼前ごろからずっと厚い雨雲に覆われていて暗い。それがまた、憂鬱に拍車をかける。
    「久々の父さんの休みだったのに」
    「まあな。だが、外に行けなかったのは残念だが、こんな風に家でのんびり過ごすのもいいもんだぞ」
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    odgr

    SPOILER4/14発行になるっぽいです。ほんとか。
    マジェ昼の部捜査前の12月、クリスマスチャリティーヒーローショーに出演が決まったことをきっかけに、『演じる』『ヒーロー』というあたりのキーワードからウィリアムズ親子を考えるモクマさんの話です。モクルクです。
    マジェMカのバレとトンチキネームのモブがそこそこ出ます。実在の団体や個人とは一切関係ありません。
    アクターズ・エンパシー 月がきれいに見える部屋は、朝の光もよく入る。
     つまり自ずと目覚めが早くなることにモクマが気づいたのは、そのゲストルームを選んで借りた翌日の朝だった。正確には自分で選んだというわけではなく、広さと個別の洗面室がある方のゲストルームを気に入ったチェズレイが真っ先に部屋を選び、アーロンはアーロンで「詐欺師の近くでさえなくばどこでも良い」というものだから、モクマはアーロンが使わなさそうな方に決めたのだ。部屋は適度な狭さで、その割には窓が大きく、ひとりで過ごす時間も大切にしたいモクマとしては都合が良かった。多少朝が早くなるとしても、気の置けない仲間たちと過ごす時間が増えると思えば、十分にお釣りが来る。
     このゲストルームの窓から、緑の庭木と生け垣が茂る庭が見えるのも良かった。ウィリアムズ家の庭は、父母と子供がひとりかふたりいるような家庭の邸宅と考えるとちょうど良い広さだった。『ちょうど良い』というのはこの家全体に言える感覚で、本来ならば家の主となる夫婦の部屋、子供のための部屋、家族の時間を共有するリビング、ふたり以上での作業が快適に行える動線を想定したキッチン、窓から光が入り清潔感がある広い洗面室とバスルーム、それから、時に大事な友人を招いて快適に過ごしてもらうための部屋──チェズレイに言われて初めて気がついたが、成程ここは、理想と信念を抱いて働くエリート国家公務員の男が、家族と過ごすありふれた幸せを望んで買い求めた『設定』にひどく相応しい造りだった。
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    platast_0

    DOODLE世間一般的には失敗かもしれないアロルク幸せいっぱいの初夜
    からの、だんだんセックスで気持ちよくなっていくアロルク🔞を書きたいなという気持ちがあります……ルークくん、初めは感じにくいタイプだと私が喜ぶ。
     アーロンと初めて抱き合った夜のことは忘れられない。
     それはセックスというよりはスポーツ。スポーツというよりは格闘。審判がいたら「引き分け」判定を食らっていただろう壮絶な様相を呈した夜は長期戦で、いつもなら清々しく浴びるはずの朝日があまりにも眩しかった。満身創痍、というのがふさわしい一夜。自分なりに鍛えているとはいえ常人の域から出ない僕ならまだしも、息を荒げることも肩をぜえぜえと上下させることもめったにないフィジカルお化けのアーロンでさえそんな様子だったのだから、その凄まじさを感じてもらえるんじゃないかと思う。
     時間をかけて時間をかけて、やっとわずかに緩んだ中にどうにか入れて、というか押し込んで、互いに快感とは程遠く、額に滲む脂汗を交わらせながら、それでも僕らは幸せだった。失敗だなんてとんでもない。深く繋がって、言葉もなくぎゅうぎゅうに抱きしめあった僕たちの間には確かな想いがあった。アーロンに言ったらまた「クサい」って呆れられるかもしれないけれど、僕たちはここに「愛」を見つけたんだ。「愛」は互いに僕たちのかたちをしていた。僕のはアーロンの。アーロンのは僕の。抱きしめてそのかたちをなぞるたび、歓びが心のなかを駆け巡った。アーロンも同じだって聞かなくとも分かる。僕より大きな手のひらが、あまりに優しく僕に触れるから。
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