ある日、千年王国研究所に依頼が舞い込んできた。
依頼人の男性は「叔母が妙な宗教団体にのめり込んで……」と話し始め、この千年王国研究所の主である、悪魔くんこと埋れ木一郎は、自分の机で偉そうにふんぞり返りながら「消費者センターに相談しろ」と目もくれず突っぱねた。しかし一郎の相棒であり、経理掃除依頼対応など推理以外の全ての業務を担当しているメフィスト三世がいつものように「こら! うちの帳簿はいつでも赤字なんだぞ!」と反論した為に、二人はその宗教団体について調べる運びとなった。
千年王国研究所から離れた場所にあった、森の中の古い講堂。確か以前は所有者が死去し、誰にも整備されずに割れたガラスと蔦だらけの壁の晒していたが――今では新築同然に美しく整備され、割れていた二階ホールは曇り一つ無いガラス窓が全面に嵌め込まれていた。人通りは以前と同じく無いと思われたが、一人の老婆がこの講堂へと入って行った。二人は視線を交わらせると、この講堂へと入って行った。
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