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    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

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    なりひさ

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    ガンマト。アドベントカレンダー企画まとめ

    #ガンマト
    cyprinid

    ガンマトアドベントカレンダー3.521素晴らしい人々



    「ガンガディアのおっさんが師匠の百歳の誕生日をサプライズで祝いたいんだとよ」
    「お前サプライズの意味わかってんのか?」
     秘密であろう内容をさらりと言ってしまったポップにマトリフは呆れた。だがポップは調子良く笑いながら肘でマトリフをつつく。
    「師匠はとっくに気付いてたろ〜?」
    「まあな」
     ここ数日ガンガディアは挙動不審だった。それがマトリフの百歳を祝うための準備をしているためだとマトリフは気付いていた。
    「当日に師匠を連れ出す役目をガンガディアのおっさんに頼まれたんだよ。理由は何でもいいから適当に出かける用事に誘えってさ。師匠どこか行きたいとこあるか?」
    「ねえよ」
    「パプニカで最近流行ってるデザートでも食いに行く? あ、でもアバン先生のケーキがあるから甘いものは被るなあ」
     うーんと考え込むポップを、マトリフは片肘をつきながら見やる。
    「アバンも一枚噛んでやがるのか」
    「先生だけじゃないぜ。だいたいみんな集まる予定だけど」
     それを聞いてマトリフは眉間に皺を寄せた。嫌ではないが面倒臭い。行きたくないわけではないが億劫だ。人間嫌いで人里離れた洞窟に隠居していたマトリフにしてみれば、大勢に囲まれて祝われるなんて願い下げだった。そんなマトリフを見越してガンガディアは誕生祝いを隠していたのだろう。
    「会場はカール城なんだって。先生が料理を作るからそのほうが都合がいいんだと」
    「それで時間になったらお前がカールまでルーラで連れて行くってわけか」
    「そういうこと」
     だから適当に行きたいところを考えといてくれよとポップは言う。しかしマトリフは顔を顰めた。
    「やっぱ面倒臭ぇな」
    「そう言うなよ。ガンガディアのおっさんは張り切ってるんだぜ」
    「知ってる」
     マトリフはコソコソと何かしているガンガディアの後をつけて誕生会を計画していると知った。そのときは気が抜けたが、何やら嬉しそうに準備をしているガンガディアを見て、止める気にはならなかったのだ。別に祝われるのは構わない。ガンガディアとポップと、あとはアバンくらいが一言おめでとうと言ってくれるくらいでいい。それなのに大勢で盛大に祝う必要なんてあるのか。
    「大勢のが賑やかでいいじゃん」
     マトリフの思考を読んだかのようにポップが言う。
    「師匠のこと祝いたいって奴がいっぱいいるってことだろ」
     笑うポップとは反対に、やはりマトリフは苦い顔をした。せめてサプライズはやめてほしい。知らぬふりを通すのが思いのほか大変なのだ。
     すると洞窟の外からルーラの着地音がした。それはガンガディアのものだ。
    「おや、来ていたのかねポップくん」
    「お邪魔してまーす」
     もちろんガンガディアはポップがここにいることを知っていたのだろうが小芝居をする。それにポップも合わせていた。
    「今度師匠と一緒にパプニカに行こうって話してたんだ」
     ポップはガンガディアにわかりやすい目配せをしながら言う。マトリフはそれを視界の端におさめながら見ないふりをした。
    「そうかね。楽しんでくるといい」
     ガンガディアはほっとした顔をしている。計画が順調に進んで安心したのだろう。これで何も気付くなというほうが無茶である。しかしガンガディアの計画を成功させるためには、マトリフは知らぬふりを通さねばならなかった。マトリフは緩みそうになった顔を引き締める。
    「茶でも飲むか」
     その場から離れるためにマトリフは安楽椅子から立ち上がる。するとポップも立ち上がった。
    「あ、おれはもう行かなきゃ」
     じゃあな、と言いながらポップは手を上げる。そしてガンガディアには見えないようにマトリフに向かってウインクしてみせた。
    「茶なら私が淹れよう」
    「……おう」
     マトリフは安楽椅子へと腰を下ろした。そしてガンガディアを見る。どことなく心が弾んでいる様子のガンガディアに、マトリフだって悪い気はしない。恋人が自分の誕生日を嬉しそうに準備しているのだ。だが、それがバレバレのサプライズなのがいただけない。
    「楽しみだろう」
    「あ?」
    「ポップくんと出かけるのが」
    「お、おう……」
     マトリフは淹れられた茶をずずっと啜る。誕生日までの数日をなんとかクールに過ごさねばならなかった。
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    kisaragi_hotaru

    MAIKINGガンマトとハドポプが混在している世界線のお話の続きです。マトポプは師弟愛です。ひたすらしゃべってるだけです。
    ダイ大原作と獄炎のネタバレを含んでおりますので、閲覧の際には十分にご注意くださいませ。
    捏造と妄想がかなり激しいです。いわゆる、何でも許せる人向け、となっております。
    このシリーズは一旦ここで完結という形を取らせていただこうと思います。続きを待ってくれておりましたなら申し訳ないです……。
    大魔道士のカミングアウト 5 「――ハドラー様は10年前の大戦にて亡くなられたと聞き及んでいたのだが」

     本日二度目のガラスの割れる音を聞いた後、ガンガディアから至って冷静に尋ねられたポップは一瞬逡巡して、ゆっくりと頷いた。

     「ああ、死んだよ。跡形もなく消えちまった」

     さすがにこのまま放置しておくのは危ないからと、二人が割ってしまったコップの残骸を箒で一箇所に掻き集めたポップは片方の指先にメラを、もう片方の指先にヒャドを作り出し、ちょんと両方を突き合わせた。途端にスパークしたそれは眩い閃光を放ち、ガラスの残骸は一瞬で消滅した。

     「そうか……ハドラー様は君のメドローアで……」

     なんともいえない顔でガンガディアはそう言ったが、ポップは「は?」と怪訝な顔をして振り返った。
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