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    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

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    なりひさ

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    禁呪法でマトを作ったガンガさん

    #ガンマト
    cyprinid

    禁呪法 アバンがガンガディアの姿を見たのは久しぶりだった。深い森の奥の、誰からも忘れられたような遺跡に彼はいた。その姿は以前と変わらないように見える。
    「お久しぶりですね」
     ガンガディアと会ったのは二十年ぶりだろうか。最後に会ったのはマトリフを見送った日だ。みんなが泣きながら別れを惜しむ中で、ガンガディアは毅然としていた。最後までマトリフと共に過ごしたのだから、誰よりもその喪失を感じていただろう。しかし彼は最後の最後まで涙を流さず、その墓をじっと見つめていた。
    「勇者か。久しいな」
    「ここに住んでいたのですか。実は興味深い文献を読んで……」
     アバンは各地の遺跡調査を行っていた。この遺跡を記した書物を手に入れて、調べに来たのだ。
    「ガンガディア?」
     高い声が聞こえて、アバンは遺跡の奥へと目を向けた。その声は子供のもののように聞こえたのだ。
     ガンガディアは遺跡の奥を振り返る。その巨躯を屈めてから、ゆっくりと立ち上がった。
     こちらを向いたガンガディアの腕には少年がいた。淡い髪色をした、十にも満たないほどの少年だ。少年はアバンを見ると怯えたように身を屈めた。
    「そちらは?」
     その少年は人間のように見えた。さらには、その少年にマトリフの面影が見えたのだ。
     ガンガディアは少年の背を大きな手で摩る。怖がらなくていいと小さな声で言い聞かせていた。
    「すまない。人間に慣れていなくてね」
     ガンガディアはそう言うと少年を下ろした。少年は遺跡の中へと駆けていく。アバンはその背を目で追った。
    「禁呪法だ」
     ガンガディアが言った。その声は不気味に響く。
    「私が禁呪法で作った子だ」
    「マトリフに似ていると思うのは私の思い過ごしですか」
    「いいや。彼は実際にマトリフの一部を元にして作った。似るのは当然だ」
     ガンガディアは平然としていた。禁呪法を使うことも、マトリフに似せた子を作ることも、彼にとっては禁忌ではないのだろう。
    「安心してくれ。この件についてはマトリフに了承を得ている」
    「彼が許可したのですか」
    「死んだ後のことは好きにしていいと言われている」
     だからといって、とアバンは言いそうになる。だが、何がいけないのか咄嗟に言葉にできなかった。
    「彼は人間なのですか」
    「いいや、魔族だ。彼を作って二十年が経つが、まだ子供のようだろう。魔族は人間のように成長が早くない」
     ガンガディアは視線を遺跡の中へと向けた。その視線は穏やかだ。
    「すまないが、ここの遺跡のことは忘れてくれ。すっかり私たちの家として作り変えてしまったのだよ」
    「そうですか」
     アバンは小さく頭を下げてその遺跡を後にした。ガンガディアは遺跡の出入り口でアバンを見送る。その足元に少年が寄り添っていた。
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    kisaragi_hotaru

    MAIKINGガンマトとハドポプが混在している世界線のお話の続きです。マトポプは師弟愛です。ひたすらしゃべってるだけです。
    ダイ大原作と獄炎のネタバレを含んでおりますので、閲覧の際には十分にご注意くださいませ。
    捏造と妄想がかなり激しいです。いわゆる、何でも許せる人向け、となっております。
    このシリーズは一旦ここで完結という形を取らせていただこうと思います。続きを待ってくれておりましたなら申し訳ないです……。
    大魔道士のカミングアウト 5 「――ハドラー様は10年前の大戦にて亡くなられたと聞き及んでいたのだが」

     本日二度目のガラスの割れる音を聞いた後、ガンガディアから至って冷静に尋ねられたポップは一瞬逡巡して、ゆっくりと頷いた。

     「ああ、死んだよ。跡形もなく消えちまった」

     さすがにこのまま放置しておくのは危ないからと、二人が割ってしまったコップの残骸を箒で一箇所に掻き集めたポップは片方の指先にメラを、もう片方の指先にヒャドを作り出し、ちょんと両方を突き合わせた。途端にスパークしたそれは眩い閃光を放ち、ガラスの残骸は一瞬で消滅した。

     「そうか……ハドラー様は君のメドローアで……」

     なんともいえない顔でガンガディアはそう言ったが、ポップは「は?」と怪訝な顔をして振り返った。
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