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    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

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    なりひさ

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    英霊ガンマト

    #ガンマト
    cyprinid

    魔導図書館の英霊「大魔道士」
     ガンガディアは思わずマトリフに呼びかける。マトリフは多くの兵士に囲まれて、地図を広げながら指示を出していた。
     ヨミカイン魔導図書館の泉のすぐそば。パプニカ王家の兵士たちは物々しい警戒をしていた。その中心にマトリフがいる。
     ガンガディアは戸惑いながらもマトリフに近付く。沢山いるパプニカの兵士たちは誰一人としてガンガディアに気付かなかった。
     ガンガディアは死んで霊となった。あの地底魔城の闘技場で炎に包まれ、そこで意識が途切れたが、次に気がついたときにはヨミカインにいた。
     ヨミカインは湖に沈んでいた。水に揺蕩う魔導書を目にしてガンガディアは改めて罪の意識に苛まれた。どうにかできないかと泉の奥深くに沈んだ魔導書を拾おうとしても、ガンガディアの体では物に触れることはできなかった。透き通った手は魔導書を貫通してしまう。魔導書だけでなく、ガンガディアは実在する物に触れられなかった。
     ガンガディアはヨミカインの魔導書を引き上げられないかと考えていた。するとある日、泉の上が騒がしくなった。見てみればパプニカの兵士が集まっている。咄嗟に警戒したものの、誰もガンガディアには気付かなかった。ガンガディアが実在するものに干渉できないように、人間たちにはガンガディアを認識できないようだった。
     泉の底へ戻ろうとしたガンガディアだったが、そこである人物を見つけた。マトリフだ。マトリフは兵士に囲まれるように泉へと歩いてきた。
     ガンガディアはマトリフを見つめた。マトリフは兵士たちに指示を出しながら泉を覗き込んでいる。聞こえてくる言葉から、彼が魔導図書館の修繕の行おうとしているとわかった。
    「大魔道士」
     ガンガディアの言葉はマトリフには届かない。マトリフはそばに立つガンガディアに気づく様子もなく通り過ぎていく。マトリフの真剣な眼差しに、ガンガディアは胸が詰まった。
     もしかすると、マトリフはガンガディアの後悔を引き受けてくれたのかもしれない。
     ガンガディアにとってヨミカインは大事な場所だった。理由があったとはいえ、それを壊してしまった。最後に残った火竜変化呪文の魔導書をマトリフに託したのはせめてもの罪滅ぼしだった。
     マトリフがヨミカインを復活させてくれたらどれほど嬉しいだろう。ガンガディアは無いはずの肉体が震えるようだった。
     だがガンガディアはあることに気付いて振り返る。そこには一人の老人がいた。着用しているローブからパプニカ王家の者だとわかる。その者から禍々しい気配を感じた。その老人は一点を見つめている。その視線の先を辿ると、そこにいたのはマトリフだった。
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    kisaragi_hotaru

    DONE無自覚のままであろうとした両片想いガンマトが自覚させられるお話。欠損描写がありますが最終的には治りますけれど苦手な方はご注意くださいませ。謎時空なので深く突っ込んではいけない系です。魔王は祈りの間にて引きこもり中です。
     乱戦状態だった。一人ずつ探して回復していったのでは間に合わない。マトリフは冷静さを保ちながら素早く周囲を見回して、次いで傍らでモンスターを殴り飛ばしたブロキーナに視線を向ける。最近習得したばかりの回復呪文を使うにしても発動中は無防備になってしまう。詠唱のための時間稼ぎも必要だ。
     「よお大将! 全員を一気に回復させてやっからちょっくらザコどもの相手を頼むぜ」
     「いいよん」
     モンスターの大群相手にしながらもブロキーナは軽いノリで請け負った。
     そんな二人の会話を聞いていた一体のモンスターが不満をありありと孕んだ声色でもって割り込んだ。
     「ほう。君の言うザコとは私のことも含まれているのかな?」
     トロルの群れの向こう側から青色の肌をしたさらに巨大な体躯が現れた。眼鏡を中指の鋭利な爪で押し込んで歩み寄ってくるその理知的な動作とは裏腹に額には幾つもの血管が盛り上がっていた。
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