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    なりひさ

    @Narihisa99

    二次創作の小説倉庫

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    なりひさ

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    現パロガンマト。前世の記憶ありマト

    #ガンマト
    cyprinid

    七夕 晴れた夏の夜空を、立ち昇った紫煙が横切っていく。マトリフは指に挟んだ煙草が短くなっていくのを見て、もう一本火をつけるかどうか考えていた。
     広くて見晴らしのいいベランダで、マトリフは裸足にサンダルを突っ掛けて煙草を吸っていた。
     夜空では年に一度の逢瀬をする恋人がいるという。そんな不遇な恋人たちは残りの三百六十四日を、どんな気持ちで過ごすのだろうか。
    「マトリフ」
     ベランダのガラス戸が空いてガンガディアが姿を見せた。室内の明るい光がガンガディアを照らしている。マトリフは煙草を口元に運んで吸い込んだ。
    「風呂へ入らないか?」
    「これが終わったらな」
     マトリフが煙草を吸い込めば、火が強く灯る。ぎりぎりまで吸おうとしていると、ガンガディアはじっとマトリフを待っていた。
     ガンガディアは健気な恋人だ。ガンガディアなら、年に一度の逢瀬でも辛抱強く待つのかもしれない。だがマトリフは自分にはできないだろうと思う。
     マトリフは煙草を灰皿に押し付けた。煙草とライターをひとまとめに持って、もう一度夜空を見上げる。
     どれほど大きな河が二人を隔てたとしても、それを飛び超える魔法があればいい。河を飛び越えたなら、愛しい人の手を掴んでどこへだって行ける。
    「ガンガディア」
     マトリフはガンガディアの手に手を絡める。本当に運命が二人を分つときは、きっと冷静ではいられない。
    「……オレたちはずっと一緒だよな」
    「急にどうしたんだね」
     ガンガディアはマトリフの言葉を冗談か何かだと思ったらしい。ガンガディアはマトリフの腰に手を回すと首筋に口付けた。それがどうにもくすぐったい。マトリフが逃げるように身を捩れば、ガンガディアは逃さないように腕に力を込めた。
    「私たちはずっと一緒だ」
     冗談めかしたその言葉をマトリフは信じたかった。漠然とした不安がずっと胸の底に澱となっている。だがそれに見ないふりをして、目の前の温もりを抱きしめた。
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    kisaragi_hotaru

    DONE無自覚のままであろうとした両片想いガンマトが自覚させられるお話。欠損描写がありますが最終的には治りますけれど苦手な方はご注意くださいませ。謎時空なので深く突っ込んではいけない系です。魔王は祈りの間にて引きこもり中です。
     乱戦状態だった。一人ずつ探して回復していったのでは間に合わない。マトリフは冷静さを保ちながら素早く周囲を見回して、次いで傍らでモンスターを殴り飛ばしたブロキーナに視線を向ける。最近習得したばかりの回復呪文を使うにしても発動中は無防備になってしまう。詠唱のための時間稼ぎも必要だ。
     「よお大将! 全員を一気に回復させてやっからちょっくらザコどもの相手を頼むぜ」
     「いいよん」
     モンスターの大群相手にしながらもブロキーナは軽いノリで請け負った。
     そんな二人の会話を聞いていた一体のモンスターが不満をありありと孕んだ声色でもって割り込んだ。
     「ほう。君の言うザコとは私のことも含まれているのかな?」
     トロルの群れの向こう側から青色の肌をしたさらに巨大な体躯が現れた。眼鏡を中指の鋭利な爪で押し込んで歩み寄ってくるその理知的な動作とは裏腹に額には幾つもの血管が盛り上がっていた。
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