鯉月と尾勇カプの片割れ同士があれこれ談義するシチュ好きです。
特に攻め受け同士だと何とも言えない萌えがあります。
ということを踏まえて、鯉月の鯉くんと尾勇の勇作殿で恋バナしてほしいです。光の少尉ズ大好きです。
軍曹と尾形にはその様子を遠くから見ていてほしいです。
あと現パロで勇作殿が「音くん」とか「音」とか呼んでるのヘキです。かわいい。
(鯉月と尾勇は左右相手固定なので、それ以上の意図は一切ありません)
「音くんは月島さんのどういうところが好きなんだい?」
清く正しく美しい勇作は人を惑わせる。あの尾形でさえ、愛憎渦巻くほど狂っているのだから。
純粋な子供のような質問。大っぴらに愛を語ることが少ない傾向にある日本人は、こんな質問されたらなかなか即答できない。しかし音之進は真っ直ぐに受け止め打ち返してきた。
「勇作どんの都合がよければ、何時間か貰えれば全部答えます」
だいぶ早口で端折ることになりますけど。音之進は当然のことのように答えた。実際、音之進にとってはそれほど途方もない質問だった。地球上にある食べ物の中で美味しいものを教えてください、くらいキリがない話だ。
そんな音之進の様子を見て、勇作も全く動揺しない。
「やっぱりそうなんだね。じゃあ、特に好きなところは?」
「勇作どん……それは難問すぎる。明日の朝まで待ってもらっても……いや、できれば1週間は考えたい」
「ふ、好きなところがいっぱいあるんだね」
勇作は慈愛に満ちた笑顔を浮かべた。音之進の方は本気で悩んでいるようで、しかし尊敬する先輩である勇作の問いに答えようとしている。最愛のパートナーの好きなところなんて、いくら時間があっても言い尽くせない。即答で選ぶのも難しい。
微笑ましく音之進の様子を見ていた勇作だったが、ふとため息をついた。洒落たカフェでため息をつきながら頬杖をつく美丈夫。正面にはタイプの違う凛としたイケメン。ふたりは知らず知らず店内の視線を集めていた。本人たちは知る由もない。
「何か悩みでも?」
「悩みというか……音くんはそうなんだろうなぁと思って、少し羨ましくなったんだ」
勇作は意味もなくアイスコーヒーをストローで混ぜる。
「私も、兄様にそんなふうに思われてみたい」
「……尾形が何かしたんですか」
犬猿の仲である尾形の名前に、元来鋭い音之進の眼光がよりきつくなる。勇作は口の中だけで笑って見せた。
「いや……兄様は私のことなんて何とも思ってないよ。むしろ割と嫌われていると思う。でも兄様と一緒にいたくて。自分勝手だね」
「あの、勇作どん。私もどこから突っ込めばいいのか」
尾形が勇作どんを嫌っている?この人、鈍いところがあるとは思っていたがここまでとは。音之進は頭を抱えたくなった。見当違いにもほどがありますよと。
確かに、尾形の勇作に対する態度はなかなかにひどい。いつも健気に交流を図る勇作を避けるか、得意の嫌味を言うかといった具合。たまに一緒に食事をしたり遊びに行っている様子だ。
しかし、実際の尾形の心中は逆だった。勇作が近寄ってくれば内心そわそわしているし、けれどその眩しさにいたたまれなくなり逃げるか抵抗する。好きな子ほどいじめたいし、遠ざけたくもなる。勇作が折り合いをつけてほどよい距離感で近寄ってくると、安心して近寄ることができる。
こういった事をさも「勇作殿、鬱陶しいです」といった態度で行う。音之進が尾形を嫌う理由の一つでもあった。
「とりあえず、そんなことないというのは言っておきます」
「音くん、ありがとう。慰めてくれて」
「いやいや、そういうことじゃなくて」
「いつか兄様が私のことを少しでも好きに……ううん、せめて嫌いだと思われないようになればいいのに」
(勇作どん──わっぜ鈍か!)
「おい尾形、お前いい加減にしろ」
「……何のことですかな」
「あっちは年下だろう。お前まだ意地悪してるのか」
「人聞きが悪いですなぁ……勇作殿が勝手に構ってくるんですよ」
「今に嫌われるぞ」
「…………」
「言わないと伝わらんこともある」
「ははぁ……では、おたくのボンボンみたいに暑苦しくいけと?月島さんのところは胸焼けするくらいベタベタしとりモスからね」
「拳骨いいか?」