「肩が凝っているのか?」
バスローブを羽織って出てきたブチャラティは、シャワー後だというのにさっぱりしない顔で肩を回している。
「あぁ……熱いシャワーを浴びれば少しはマシになると思ったんだがな……」
渋い顔で答えながら首を左や右に曲げ伸ばしするブチャラティの表情は暗い。難儀な事件が起きて、さらに面倒なことにデスクワークも山ほどあった。チームのリーダーである彼はここ最近、アジトの書斎に籠りきりで、今夜は3日ぶりに家に帰ることができた日なのだ。無理もない。
「マッサージ、してやろうか?」
ブチャラティがあまりにも疲弊して見えたので、アバッキオは思わず声をかける。
「いいのか?……助かる」
嬉しい提案にブチャラティの顔が綻ぶ。
2773