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    浦山ナツメ

    ポイピクは主にsky用の小説やうちよそ創作置き場。
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    浦山ナツメ

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    カス教序章
    ~星の子うちよそ~

    #うちよそ
    atHome

    デカい、気味が悪い、恐ろしい、化け物…
    散々言われてきた。生まれつきの体だ。どうしようもないことなのに。
    光に導かれたのも初めだけ。蝶もみな私を避けていく。
    独りでいるのが寂しくて人の多い場所で声をかけ続けたこともあった。
    唯一声掛けに答えてくれた人も、「見苦しい顔を晒すな。」といい、
    私にマスクを寄越した。
    扉の奥へと閉じこもり、誰とも分かり合えないまま、使命もわからぬまま
    時間を消費するだけなのかと思っていた。

    ある時、星の子たちの話す噂を聞いた。雀、と呼ばれる生まれて間もない星の子たちを集めて
    崇める新興宗教があると。聞く話によれば、雀であれば皆等しく愛を持ってくれるらしい。
    その場に行った雀が一定期間になると姿を消すだとかも言っていたが、
    もはやそんなことどうでもよかった。
    愛してほしい。こんな異形の私でも、そこでなら愛を貰えるかもしれない。
    藁にもすがる思いだ。どうなったってかまわない。
    愛してくれ。ありのままの私を受け入れてくれ。

    情報をかき集め(ほぼ盗み聞き)どうにか探し当てたその拠点へと赴き、ドアの前で大きく深呼吸をする。
    ここでも拒絶されたらどうしよう、教祖とやらはいったいどんな奴なんだろう。
    様々な不安が自分の中を渦巻く。そっとドアへと手を置く。
    そうして優しくノックをした。

    「すみません。どなたかいらっしゃいますか。
    雀ならば姿かたちを問わずに愛してくれると聞いてきました…。
    ドアを…開けてもらえますか…」

    勇気を出して振り絞った声は、誰とも会話をしなかったせいか少し掠れて震えていた。
    扉の向こうはシンと静まり返ったままだった。
    場所を間違えたのか、それともやはり拒絶だろうか。
    ノックをした形のまま止まった手のひらにジワリと汗がにじむ。

    カチリ、と音がした。
    軋んだ音を立てながらゆっくりとドアが開いた。
    中からは、私よりは背が低いが、美しい顔をした星の子が出てきた。
    「…よく来ましたね、えぇ、私はスズメを愛しています。
     …中に、お入りなさい……」
    少し間をあけて長くまとめた髪をひらりとなびかせながら私を導いた。
    「…あ、あの!」
    身をかがませて扉をくぐり、背中を丸めた姿勢のまま声をかける。
    「わ、私が…恐ろしくはないのですか…??」
    前を行くその星の子は立ち止まり、私を振り返る。
    厚い下唇がゆっくりと動いた。
    「まさか、言ったでしょう。私はスズメを愛しています。
     あなたはまだ雀です。恐ろしいだなんて、可愛らしいじゃないですか。」
    ようやく動き出したような心臓がうるさく私の喜びを表した。
    この人は、私を拒絶しないんだ。私を愛してくれるんだ。
    そうか、この人が教祖か。美しく、素晴らしい心の持ち主じゃないか。
    私は膝をつき、その美しい星の子へ向けて手を合わせた。
    「ありがとうございます。教祖様、…ありがとうございます……」

    ようやく会えた、私を受け入れてくれるひとに。
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    浦山ナツメ

    PROGRESSカス教1-1
    出来たところからあげてくことに決めた。
    雀を愛し保護をする、この新興宗教の教祖のもとへ来て早1週間が経った。
    教祖はカースに対して他の雀たちと変わらぬ対応をしてくれたが、異常なまでに大きい体躯に対して
    他の雀たちは萎縮しやはりカースを避けていた。
    寂しくないと言えばウソとなるが、相手にしてくれるだけまだいいのかもしれない、
    今までよりマシだということを考えるとカースには弱音など吐けなかった。
    口元の縫い目を教祖に見せはしたが、一般的に恐ろしい見た目であることをカースは理解していたため
    今まで過ごしていたように口元にマスクをして教祖の下で過ごしていた。
    「さぁさぁ、天使たち。今日は何をしましょうか!」
    教祖は雀たちを集め、天使と呼んだ。(カースも例外なく天使と呼ばれた)
    この1週間過ごしてみてわかったのは、教祖は確かに分け隔てなく愛してくれる。
    しかし誰もがかけがえのない、個人であるとして見ているようには思えなかった。
    自分の名前を呼んでほしくてお願いをしてみたことはあるが、
    呼んでくれたのは初めの一度だけ。それ以降は
    「天使の名を呼ぶなどできません。」
    と断られてしまった。
    ただ、それだけでカースが個人としてみていないのでは 548

    浦山ナツメ

    DONE創作星の子、登場はうちの子のみ。
    カエラとウォルの出会いの物語。
    【推奨】Twitterの固定ツイートにモーメントがあるのでそこからキャラシを見てから読んだ方が分かりやすいのではないかしら。
    柔らかく短い草原の草に丸まり、暖かい光を浴びてカエラは眠っていた。
    光を摂取できないカエラにとって日光浴は意味を成さない行為ではあったが、
    それでも彼女にとっての安息の一つであった。
    心地の良い風が頬を撫で、子供たちの駆ける足音をまどろみの中で聞いていた。
    カサリ、草むらの擦れる音が近くで聞こえ、カエラはうっすらと目を開けた。

    普遍的な、どこにでもいる雀の姿をした星の子がカエラを覗き込んでいた。
    キャンドルを取り出すわけでもなく、鳴くわけでもなくただこちらを見つめる星の子を
    少し不気味に思いカエラは身を起こした。
    「…な、なにか……」
    羽ナシが珍しいから目立つのはわかる、しかしこうもじっくりとみられると調子も狂うものである。
    雀はやはり何をするでもなくこちらを見つめる。
    (やっぱり人通りの多いところはやめておいた方が良かったか…、場所を変えよう…)
    「ば、ばいばい…」
    カエラは膝に手を置き立ち上がり、雀に背を向け去ろうとした。
    不意に雀の手がカエラの袖口を引いた。
    振り返ると雀は、やはりこちらを見つめていたが小さく、ぷぅ、と鳴いた。
    カエラにはそれがどうしてか、「置いていかないで」と 732

    浦山ナツメ

    DONEカス教序章
    ~星の子うちよそ~
    デカい、気味が悪い、恐ろしい、化け物…
    散々言われてきた。生まれつきの体だ。どうしようもないことなのに。
    光に導かれたのも初めだけ。蝶もみな私を避けていく。
    独りでいるのが寂しくて人の多い場所で声をかけ続けたこともあった。
    唯一声掛けに答えてくれた人も、「見苦しい顔を晒すな。」といい、
    私にマスクを寄越した。
    扉の奥へと閉じこもり、誰とも分かり合えないまま、使命もわからぬまま
    時間を消費するだけなのかと思っていた。

    ある時、星の子たちの話す噂を聞いた。雀、と呼ばれる生まれて間もない星の子たちを集めて
    崇める新興宗教があると。聞く話によれば、雀であれば皆等しく愛を持ってくれるらしい。
    その場に行った雀が一定期間になると姿を消すだとかも言っていたが、
    もはやそんなことどうでもよかった。
    愛してほしい。こんな異形の私でも、そこでなら愛を貰えるかもしれない。
    藁にもすがる思いだ。どうなったってかまわない。
    愛してくれ。ありのままの私を受け入れてくれ。

    情報をかき集め(ほぼ盗み聞き)どうにか探し当てたその拠点へと赴き、ドアの前で大きく深呼吸をする。
    ここでも拒絶されたらどうしよう、教祖とやら 1221

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