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    浦山ナツメ

    ポイピクは主にsky用の小説やうちよそ創作置き場。
    たまに多ジャンルもポイポイする予定。

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    浦山ナツメ

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    カエラの絶望

    かつての私は沢山の光を抱え、使命を全うする普遍的な星の子だった。
    行く先々で会った精霊たちの思いを背負い、空へと返す。
    その日も。いつもと同じようにもはや恒例となった転生をするはずだった。
    私が違和感を覚えたのは原罪へと入り、しばらくの時間が経った後だった。
    門の奥へと進み、全ての人を救ったはずだった。しかし、いつまでたっても体は朽ちず
    光を失っても尚私の体は形を保ち続けた。
    天から降り続ける赤い石に打たれ続けても、灯した灯篭のもとへ戻ろうとも、
    光を得ることもなく、かといってこれ以上失うものもなく、完全に孤立してしまったのだ。
    入口から最奥へと進み、戻る。ウロウロと歩き続けても一向に転生の光の道へと進む気配はない。
    打たれ続けた背中はもはや感覚を失い、私はようやく原罪から出ることが出来ないと理解した。
    私の他に誰かがいる気配もない。灯篭の傍へと寄り掛かりずるずると崩れ落ちるように座る。
    帰れないという絶望と喪失感、そして永遠とも思える時間に私は意識を手放した。

    ふと、鳥の鳴き声が聞こえ、ハッと体を起こす。
    そこはいつも通りの星座版、ホームだった。
    夢だったのか、なんだ、よかった。と思い、胸をなでおろす。
    そして気が付いた。
    光がないことに。
    転生したとしてもいつもあったはずの翼が、ない。
    星座版が温かく感じるほどに私の体は冷え切っていた。
    「まさか、そんな、」
    夢ではなかったのだろうか。
    どくり、どくりと自分の心臓の鼓動が耳の中に響いた。
    「そんな、訳ない。落ち着け、光を失ったならまた、集めるだけ。いつもと同じ…」
    震える声で確かめるように自分に言い聞かせる。
    そうして立ち上がり、草原へと向かった。

    そして、私にはどうしようもないことだと思い知った。
    光を前にして、私は何もできなかった。
    受け取ることが出来なかった。目の前で眩く輝くそれをただ虚しく見つめることしかできない。
    私には自分自身のわずかな光しかないのだと。
    原罪での出来事は、おそらく夢ではないのだろうと。
    私は再び絶望することになった。
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    浦山ナツメ

    PROGRESSカス教1-1
    出来たところからあげてくことに決めた。
    雀を愛し保護をする、この新興宗教の教祖のもとへ来て早1週間が経った。
    教祖はカースに対して他の雀たちと変わらぬ対応をしてくれたが、異常なまでに大きい体躯に対して
    他の雀たちは萎縮しやはりカースを避けていた。
    寂しくないと言えばウソとなるが、相手にしてくれるだけまだいいのかもしれない、
    今までよりマシだということを考えるとカースには弱音など吐けなかった。
    口元の縫い目を教祖に見せはしたが、一般的に恐ろしい見た目であることをカースは理解していたため
    今まで過ごしていたように口元にマスクをして教祖の下で過ごしていた。
    「さぁさぁ、天使たち。今日は何をしましょうか!」
    教祖は雀たちを集め、天使と呼んだ。(カースも例外なく天使と呼ばれた)
    この1週間過ごしてみてわかったのは、教祖は確かに分け隔てなく愛してくれる。
    しかし誰もがかけがえのない、個人であるとして見ているようには思えなかった。
    自分の名前を呼んでほしくてお願いをしてみたことはあるが、
    呼んでくれたのは初めの一度だけ。それ以降は
    「天使の名を呼ぶなどできません。」
    と断られてしまった。
    ただ、それだけでカースが個人としてみていないのでは 548

    浦山ナツメ

    DONE創作星の子、登場はうちの子のみ。
    カエラとウォルの出会いの物語。
    【推奨】Twitterの固定ツイートにモーメントがあるのでそこからキャラシを見てから読んだ方が分かりやすいのではないかしら。
    柔らかく短い草原の草に丸まり、暖かい光を浴びてカエラは眠っていた。
    光を摂取できないカエラにとって日光浴は意味を成さない行為ではあったが、
    それでも彼女にとっての安息の一つであった。
    心地の良い風が頬を撫で、子供たちの駆ける足音をまどろみの中で聞いていた。
    カサリ、草むらの擦れる音が近くで聞こえ、カエラはうっすらと目を開けた。

    普遍的な、どこにでもいる雀の姿をした星の子がカエラを覗き込んでいた。
    キャンドルを取り出すわけでもなく、鳴くわけでもなくただこちらを見つめる星の子を
    少し不気味に思いカエラは身を起こした。
    「…な、なにか……」
    羽ナシが珍しいから目立つのはわかる、しかしこうもじっくりとみられると調子も狂うものである。
    雀はやはり何をするでもなくこちらを見つめる。
    (やっぱり人通りの多いところはやめておいた方が良かったか…、場所を変えよう…)
    「ば、ばいばい…」
    カエラは膝に手を置き立ち上がり、雀に背を向け去ろうとした。
    不意に雀の手がカエラの袖口を引いた。
    振り返ると雀は、やはりこちらを見つめていたが小さく、ぷぅ、と鳴いた。
    カエラにはそれがどうしてか、「置いていかないで」と 732

    浦山ナツメ

    DONEカス教序章
    ~星の子うちよそ~
    デカい、気味が悪い、恐ろしい、化け物…
    散々言われてきた。生まれつきの体だ。どうしようもないことなのに。
    光に導かれたのも初めだけ。蝶もみな私を避けていく。
    独りでいるのが寂しくて人の多い場所で声をかけ続けたこともあった。
    唯一声掛けに答えてくれた人も、「見苦しい顔を晒すな。」といい、
    私にマスクを寄越した。
    扉の奥へと閉じこもり、誰とも分かり合えないまま、使命もわからぬまま
    時間を消費するだけなのかと思っていた。

    ある時、星の子たちの話す噂を聞いた。雀、と呼ばれる生まれて間もない星の子たちを集めて
    崇める新興宗教があると。聞く話によれば、雀であれば皆等しく愛を持ってくれるらしい。
    その場に行った雀が一定期間になると姿を消すだとかも言っていたが、
    もはやそんなことどうでもよかった。
    愛してほしい。こんな異形の私でも、そこでなら愛を貰えるかもしれない。
    藁にもすがる思いだ。どうなったってかまわない。
    愛してくれ。ありのままの私を受け入れてくれ。

    情報をかき集め(ほぼ盗み聞き)どうにか探し当てたその拠点へと赴き、ドアの前で大きく深呼吸をする。
    ここでも拒絶されたらどうしよう、教祖とやら 1221

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