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    鬼ムチコ

    @oni_muchiko

    弓ギルぐだ♀とキャスギルぐだ♀の小説を書いてます。

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    鬼ムチコ

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    前にあったWギルガメッシュPUの時にあったガチャの結果を、ギルギルぐだ♀で書いてみました。

    #ギルギルぐだ♀

    WギルガメッシュPUにて アイテムやQP、種火などを集める絶好のチャンスとも言えるボックスイベント。もちろんマスターである立香も例外ではなく、育成の行き届いていないサーヴァント達のために必死で駆けずり回っていた。
     そんな最中、唐突とやって来たダブルギルガメッシュPU。その知らせに立香は唖然として、どこかぼんやりとした様子で手持ちにある聖晶石を眺めた。
    「石など眺めてどうした?雑種よ」
    「……ギル様」
     ふと降り注ぐような声に顔を上げれば、黄金の鎧を身にまとった世界最古の英雄王ギルガメッシュの姿がそこにあった。アーチャーの彼がこのカルデアに喚ばれたのはわりと後の方だが、マスターとの関係は絆レベルが高いこともありそれなりに良好である。
    「雑種、英霊を喚ぶための石はいくつある?」
    「56個、です」
    「ふむ…さて、此度は術の我とのダブルPUとやらだが……」
    「………」
    「召喚へ赴くのか?」
    「着いてきて…くれませんか?」
     立香は不安を顕にして、へにゃりと情けなく眉を下げて英雄王の赤マントをキュッと握る。めったに見せない弱々しい姿に、英雄王は「愛い!」と叫びそうになるのを抑えてギュンッと鷲掴みされてしまった胸元を抑えた。
    「…っ、よ…良かろう。これ以上召喚しようとも、宝具レベルは上がらぬというのに。貴様ももの好きよな」
     そう。もうすでに英雄王の宝具レベルは5のマックスでありこれ以上は上がらない。それでもこのマスターは召喚へ赴こうとしている。
    「だって…もっとギル様のレベルを上げたいのに、メダルが足りないですし」
    「ぐ…っ…!」
     なんの迷いもなく満面な笑みを浮かべて、立香はサラリと言いのけた。レベル上限の百以上が開放されて、今や英雄王のレベルも110を迎えている。王に貢ごうとするその心がけは悪くない。だがそれを当たり前のように邪心なく言われでもすれば、さすがの英雄王も関心を通り越して別の感情が湧き上がってしまうのも無理はないのだ。

    「それは貴様だけではないぞ、弓の我よ」
     それは唐突に。薪を割るかの如く、スパーン!と二人の間に割り込んできたのはキャスターのギルガメッシュ。めったにない折角のいい雰囲気を邪魔されて、英雄王は不機嫌を顕にした。
    「なあ立香、我の宝具も既にマックスだが…当然、我のメダルも集めるのであろう?」
     アーチャーの自分だけでなく、当然キャスターの自分の分のメダルを集めるはず。それが当然だという前提で、立香の肩を抱きながら問を投げかける。
    「勿論です!」
    「フ、当然よな」
     立香は満面な笑みを浮かべ、賢王の思惑通りの答えが返ってきたのだが。
    「あ、でも…王様はPUでもなかなか召喚に応じてくださらないから、メダル貯まらなくて」
    「………」
     言って、少数の石を握りしめてしょんもりする立香にちょっぴり気まずそうな賢王、その隣でざまあみろと言わんばかりの高笑いをする英雄王だった。




     ◆ ◆ ◆




     そんなこんなで召喚室に赴いた三人。立香はぼんやりと淡い光を発する魔法陣に30個の石を投げ入れ、召喚の呪文を唱える。ギルガメッシュ達は立香の両隣で、その光景を眺めながら見守っていた。
    (……む?)
     それは十回目の光の輪が現れた時だった。三つのリングが現れて賢王はとある気配を感じ取る。ちらりと横目で英雄王の方を見遣れば、魔法陣から目を逸らしているのが見える。そして瞬時に悟ったと同時に辺りに響き渡ったのは、鼓膜を貫通するほどの大きな高笑いだった。


    「ふはははは!この我を喚ぶとは運を使い果たしたな雑種ぅ!」


     召喚時に姿をかたどる光の粒子の余韻を残しながら、そこには天に駆ける龍の如く金糸の髪を逆立てた黄金の鎧が現れた。その姿はまさしく英雄王ギルガメッシュその人。
     その声の勢いに突風に吹き付けられたかのように、ふわふわの髪が後方に流れていってしまった立香はポカンと呆気に取られていた。
    「え…ギル様が…最初の11連で…?」
     嘘でしょと言わんばかりに、立香は英雄王を見遣る。仮にも期間限定で召喚の時期が限られている、尚且つレアリティは星5で召喚が難しいはずのアーチャー・ギルガメッシュであるはずなのだが、こんなにすんなりと召喚に応じてくれるなんて、さすがの立香も現実を直視できないでいた。
    「ち、違うっ!そのような目で見るな雑種っ!」
    「我を押し退けてまで来たかったのか…弓の我よ……」
    「術の我は黙っていろ!!」
     本人は地団駄を踏みつつも断固として否定するが、表面には現さずとも耳が真っ赤なので照れているのは明白なのである。それを知っている立香はどこかほんわかとした暖かい目で見つめながら小さく頷いた。
    「よーし!もう一回召喚しましょー!」
     石の数はフリクエを回った甲斐もあり、22連分の石、つまり60個は確保している。先程の結果としては英雄王だけ召喚できたので、次は賢王も来てくれたらいいな思いつつ、まだ言い合いをしている二人の声をBGMに立香は魔法陣に石を投げ入れたのだった。

    「──抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」
     召喚時の呪文を唱える時は、いつも緊張する。噛まないようにだとか誰が来てくれるのかなだとか、無意識に色々なことを考えてしまう。
     多少噛んでも最後まで唱えればこの陣は発動するのは知っているけれど、どうせならちゃんとした状態で召喚をしたい。だって、チグハグな言葉で喚んだって相手に失礼に当たるんじゃないかって思うんだ。
     そうして最後まで唱えた呪文によって魔法陣は発動して、きらきらとした線を引きながら中央に形をかたどっていく。それを繰り返して幾数回。


    「キャスター、ギルガメッシュ。ウルクの危機に応じ──」

    「ふはははは!この我を喚ぶとは運を使い果たしたな雑種!!」


     召喚時の光と黄金の光。それらが混じり合いPU対象であるキャスターのギルガメッシュの姿をかたどる。だがキャスターのギルガメッシュの口頭も待たずに、割り込むようにしてさっさと次の召喚が始まったかと思いきや、またもや英雄王の召喚に成功してしまったのだ。
    「貴っ様…我の口頭が終わるまで待たんか!」
    「この我が雑種めの声に応えてやったのだ、そこでモタモタするでないわ」
     これはもう、何というか。賢王が召喚に応じてくれたのはまだ良い。本人もようやく来たかと言わんばかりに頷いているほどだ。だが問題は彼の王──英雄王の方だ。
    「ギル様……」
     英雄王がいる隣を見遣れば、もう言葉もないのか蹲って頭を抱えている黄金の塊がそこにあった。王が跪くなどありえないと言っていた張本人が嘘のように、もう完全にダンゴ虫状態である。
    「おのれ……」
     こんなはずでは、なんて呟いていたけれど、彼女にとっては無問題。むしろメダルが増えてラッキー!くらいの感覚だったのだが、英雄王にとっては王の威厳やプライドなどもあるんだろう。とりあえず、英雄王の肩をポンポンと叩いて慰めておいた立香だった。
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    鬼ムチコ

    MOURNING次に出す予定の本だったけど、これ以上の進展が書けないのでここに供養。
    トリップもののお話。千里眼に偶然写ったぐだちゃんを、気まぐれで自分の世界に引きずり込む王様。所有欲を満たす行動だったけれど、次第にぐだちゃんという存在に惹かれていく王様は……という感じなお話。
    ・序
     しばらく発動していなかった千里眼が、断片的に映像を映し出す。灰色の空に、窮屈で息苦しい街並み。我が国とは違い、何とも生きづらそうな世界だと傍観していると、映像は突如ぶつりと消えてしまう。そして映写機のようにまた別の映像を映し出す。
    「あれは……」
     一人の少女が歩いていた。見目は質素だがどこか上質な布地に身を包み、四角い物を腕に下げてカサカサを音を立てる見たこともないような白い物を手に持って、ただひたすらに暗闇の中を歩く。だが空は闇に包まれているのに、辺りが妙に明るいのは本当に今が夜なのかと疑うほどだ。
    「チッ、ノイズがひどいな」
     久方ぶりの発動の影響だろうか、ホワイトノイズが映している映像の邪魔をし、歩いていた少女の姿を追うことができない。あれは誰なのか。なぜ己の千里眼はこの少女を映し出すのか。理由は全くと言って見当がつかないが、その少女には一際目立つものがあった。
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