100日後にくっつくいちじろ23日目
「ったく、あのクソ野郎……」
走行中の原付バイクに足で追いついた男がいた。山田一郎その人である。
一郎は昼過ぎ、一件目の依頼を終わらせ、昼を食べに一度家に戻る途中であった。その道中、なんと目の前で原付に乗ったフルフェイスヘルメットの男が通行人の鞄を引ったくったではないか。何を白昼堂々、このイケブクロで、しかも山田一郎の前で。被害者は悲鳴を上げたが倒れたりはしていなかった。ので、一郎はそのまま原付を追いかけた。そして程なくして追いつき、ひっ捕えた。地面に押さえつけ警察に電話をしてアッという間に犯人は連行されて行った。警察官が被害者の女に後で近くの交番に来るよう告げ、バタバタと去って行く。残された一郎と彼女。
1588