暗転の感情欲望を抑えきれずブルースを抱き、愛していると告げた俺にブルースは言った。
「俺を、愛しているなら…お前の手で俺を壊してくれ」
「このまま生きていても、いつかお前たちと戦う日が来るのを待つだけだ」
「もうこれ以上一緒にはいられない」
「俺はお前たちを裏切りたくない」
「お前に愛されたまま死にたい」
俺は震える手で、ブルースの胸にあるRチップをメタルブレードで真っ二つにした。
ワイリー博士は記憶と正義の心を失ったブルースにワイリーチップを移植して新たに悪のロボットとして甦らせた。
兄弟となったブルースとともにロックマンと戦った。ブルースが心を失ったことを知ったライトは戦意喪失し、たいしたサポートを受けられなかったロックマンを倒すことは難しくなかった。
ワイリー博士の世界征服は順調に進んでいった。
ブルースは戦闘用としての役割を果たしつつ、時間があればラボにこもりロボットを様々な方法で破壊するための研究に取り組んでいる。
実験台はいつも俺を指名してくる。
記憶を失っているはずなのに。
新開発のウイルスに感染させられ、機体が燃えるような熱さに呻き声をあげる俺をブルースは楽しそうに見ている。
「お前は、俺が苦しんでいるのが…楽しい、のか?」
「楽しい…?この感情は『楽しい』というのか…そうだな、お前が苦しそうにしている姿を見るのは最高の気分だ」
そう言って幸せそうに笑う。
俺の愛したブルースの顔をして。
この笑顔を見ることができるなら、どれだけ痛めつけられたって構わない。
「お前が楽しいなら、本望だ」
そう言って笑った俺を見て
「その顔は嫌いだ」
ブルースは心底嫌そうに眉をひそめた。