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    amarinimocawaii

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    みえるひと🦈と🦈の影の🐬のハッピーおねショタライフ 1

    物心ついたころには見えないものが見えた。首だけの猫、わんわん鳴く白い布、脳みそが見えてる車椅子のじいちゃん。ユウレイだのヨウカイだのいうやつだ。きっかけなんてわからない。オレの色の違う左右の目の暗い方。こいつが悪さをしているらしい。ばーちゃんは「お前の金の目はあんまりにもキレイだから引き寄せちゃうんだね。こっちのシブい色はとってもフシギ。あっちもこっちも見えちゃうんだね」って笑ってた。親は……気味悪がってた。だからばーちゃんが2年前に死んでからは前がみは長くしてうつ向いて見ないように引き寄せないように過ごした。だってそうしないと何が死んでて何が生きてるのかわからないから。そうして今日まで過ごしてたのに、黒くてつやつやした革靴が目ににうつった。低くて、それでいてきれいな音で和やかに声をかけてくる。

    「こんにちは、下ばかり見ていたら転びはしませんがぶつかりませんか?」
    「へ?」

     見上げて……それでも顔が見えないからもっと見上げたら、オレにそっくりだけどキレイな男の人が立っていた。

    「あなたの影です。よろしくお願いします」

     ピンとした背筋でキレイにオジギをするとしゃがんで目をあわせてくる。目の色は反対だけど同じ色だった。





    「みえないもん」
    「フロイド」
    「みえない、みえないったら」
    「ねえ」
    「みえない!!!!」
    「前、あぶないですよ」
    「イッテェ!!!!!!」
    「ほら」

     電柱におもいっきりぶつかる。フツーはそんなことしないし今までぶつかったこともないから電柱がこんなにイタいだなんて思わなかった。「赤くなってますね、かわいそうに」何て言うけどだれのせいだと思ってるの。オマエだオマエ。

    「失礼ですね、ボクはずっとケイコクしてましたよ。あぶないって」
    「だから! オマエがついてこなければ!オレは前見て歩けたの!」
    「ほらほら、あまり大きな声を出さないで。見られてしまいますよ」
    「うう……」
    「先程ももうし上げたとおり、あなた以外にはボクは見えないんですから気を付けていただかないと」
    「じゃあ……はなしかけてくんなよ」
    「はい、必要がなければこれまでどおり」
    「………まって、これまでどおり?」
    「はい、ずーっといましたからね。なんたってボクはあなたの影ですから」

     そう言って楽しそうににっこりと笑うとそれきりそいつは静かになった。なんだこいつ……。
     
     
     
     
     
     それから“影”との生活がはじまった。フロにもトイレにもついて来ようとしてイヤだって言っても聞きやしない。けっきょく、トイレは扉の前で待ってるという約束をしたけどフロはどうしてもダメだと言っていっしょに入ってきた。“影”はきっちり黒いスーツをきてるのにオレはまっぱだかでフロに入ってる。オレにそっくりとは言ってもキレイな顔でオレがからだ洗ったりしてるのを見られるとなんかヘンな気分になってくる。それでも朝は起こしてくれるし、ねぐせに気づいたら言ってくれるし、わすれ物までないかまでチェックしてくれる。そうしてピッタリとオレの後ろにくっついて、家ではそこそこおしゃべりなクセに家を出たら静かにニコニコとついてくる。からだが大きくてオトナなのかなと思ったけど、授業はオレよりシンケンに受けて教科書と黒板をよく見てる。オレが昼寝しても教科書をめくれと起こしてくる。ときどきオレに「これはどう言う意味だ」という目で文字を叩いてたりして……そういうところはオレとあんまり変わらないか年下みたいに見える。
     
    「学校は楽しいですね。たくさん色んなことを知ることができる」
    「オマエそんなになにも知らないの?」
    「…………生きてるニンゲンのルールはボクには関係ないので」
    「じゃあオマエが知るヒツヨウ、なくない?」
    「ええ、でも知ることは楽しいです」
    「……へんなの」
     
     “影”はオレにそっくりなのに、なんだかオレの胸がヘンになる。オレも大きくなったらこうなるのかな、って思うけどなんかちがう気がする。こいつは本当になんだろう。どうせ聞いても教えてくれないんだろうけど。
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