星になんてなれない「死んだら星になるという話、聞いたことありますか?」
「なにそれ」
「陸の言い伝えだそうですよ。死んだ人は星になって僕たちを見守っていると」
「ふーん、じゃあオレらの兄弟もあの星の中のひとつってこと? 沢山あってわかんねーの。あっは、あっけなく死んだ雑魚らしいや」
「フロイドは……死んだら星になりたいですか?」
「……………………それでジェイドのこと眺めてられるなら考えるかな。でもつまんなそ。ジェイドは?」
「星にはなりたくないですね」
「なんで」
「ひどくつまらないからです。眺めてるだけなんて生きてても死んでてもできますから」
「そう?」
「僕は海がいいです。海の……荒波。呑気な人達をパクパクのんでいくんですよ。それで……あなたが帰ってくるときには静かに待って、ええ、おりこうにして待ってましょう」
「それって、こーやってハグしてるのと何が違うの?」
「なにも。要するに星よりも近いところであなたをみていたいというだけですよ」