灯篭、朝靄、島流し
明けの空が好きだ。黒に段々と青が混ざり陽の橙が混ざり、ゆるやかに朝になっていく。
しっとりとした鬱ソングを流していたプレイリストは終わり、世界は明け方の静寂に包まれる。明日が来なければいいと願い、眠るような死へ誘う歌は、確かに心地が良い。寄り添われるようなリリックは楽で良い。
睡眠薬と少量の酒を流し込んでやっと訪れた眠気に身を委ねる。眠りたいと心底願うのに、朝9時出勤して5時にタイムカード上での退勤その後終電まで残業、帰宅後も自主的に仕事の持ち帰りという最悪な勤務体制に慣れてしまった身体は、ほぼ24時間張り詰めっぱなしだ。
次第に明るくなってまた音が溢れていく社会を疎ましく思いながら、意識を手離す。
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