花が枯れたら会いに来て 洗濯物が溜まった日の朝は早く起きる。そうでなければ昼過ぎに起床して、朝昼兼用の食事を取る。洗濯物があったとしても天気が悪ければやっぱり昼過ぎに起床する。それがファウストの、嵐の谷での生活だった。ここ東の国は、晴れの日が他国と比べて少ない。それに加えて谷での生活は天気に左右されやすいので、晴天の朝を逃すと着るものに困ってしまう。
昨晩、ファウストは寝る前に戸締りをしながら、次の日が快晴になると察した。何百年も生きているからか、はたまた彼が魔法使いだからなのか、その因果関係は不明だけれど、ファウストは150歳を超えたあたりから、次の日の天候を空気中の水分量や風の動き、その土地の精霊のざわめきによって予測できるようになった。同じことを言う魔法使いもいれば、何百年も生きていてもその感覚自体がわからないという者もいる。
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