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    @datt0_

    のんびりインターネットらくがきマン

    現在メギド72に気を狂わされている
    メギド72のメインストーリーは現在10章3節を配信中!
    1/30まで1〜6章が戦闘なしですぐ読める🎶
    メインストーリーを進めて「特別な仲」を見届けよう!

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    仕事暇すぎて気晴らしに書いてたサタブフの作文。
    ご飯食べてほしいって思ってたのに、何がどうしたらこうなるんだろう。
    推敲してない(多分今後もしない)ので、細かいことは気にせずにお楽しみください。何もかも雰囲気です。
    ほんのりビターエンド風味。サタン様の一人称視点です

    ##特仲
    ##メギド72

    給餌 ヴィータ体を覚えてからというもの、メギド体の頃には気にも留めていなかったようなことが意識の端にかかるようになった。
     たとえば日差し。メギドラルでは昼と夜の明るさに大きな違いはなかったが、それでも明るいこと、暗いことを以前よりも強く意識するようになった。ヴィータ体の光受容器官である瞳の、虹彩と呼ばれる部位の色素が薄いため、光に敏感になったのだろうと言われた。
     たとえば空腹感。メギド体ではさほど食事を必要としない。それぞれが好きなものを好きな時に好きなだけ摂取すればいい。生命維持の大半をフォトンの摂取によってまかなっているためだ。それが、生命維持の大半を食事に頼るようになる。正直、何度かそれに気づかずにほとんど動けなくなるまで活動をつづけた結果、倒れたことがある。本当に厄介だ。
     たとえばにおい。メギド体で感じるにおいは戦況を左右するもの、相手の気配やからだの状態であったり、あるいは感情――相手に戦意はまだあるのか否かを推し量るためのものだった。だが、ヴィータ体ではもっと多くのにおいを敏感に感じる。それが何を表しているのかは理解できなくとも、ただ、情報量が増えた、とだけは理解できた。
     このようにして挙げればまだまだあるものの、その中で最も大きかったものは、他者との接触による快感や高揚感だろう。
     ベル、この俺にヴィータ体を勧めた張本人だが、こいつと色々なことを試しているうちに、肌を直接合わせることの快さと、それにまつわる多くの感覚を得た。戦争しか知らない、戦争で相手とぶつかりあうことでしか快感も高揚感も得たことがなかった。だのに他者と戦争もせずにからだを合わせ、五感のすべてを使って、何も生産せず、ただ自分たちの感情のままに過ごす時間を楽しむなど、以前では考えもしなかった。
     この身体的接触、ひいてはヴィータ体での性行為に及ぶまでそう永くはかからなかった。メギドラルの中央を担う大メギドが二人してこのような退廃的行為に耽っているとは、同盟仲間はいざしらず、下級メギドたちはつゆほども思っていないだろう。もちろん、俺にだけ見せるベルの姿を、ベルだけに見せている俺の姿を、他者に見せてやるつもりは毛頭なかった。この感情は、この行為は俺たちが特別な共感性を求めて、あるいはベルが求めて俺が同調したーーもはや今となってはどちらでもよかったーー、俺たちだけのものだからだ。
     さて、身体的接触および性行為について、基本はおおむね『好い』と感じているが、ふたつ、ままならないと思うことがある。空腹感と、疲労だ。
     俺のほうは疲労はさほど気にならない。ヴィータ体のなかでも丈夫な部類にあるらしい肉体は、性行為において長期の動作を可能としていた。ベルの動きが鈍くなっても、まだ体力があり余っており、何度か『休戦』を申し込まれたほどだ。たしかに、俺も以前に極度の空腹感により動作不良を起こしたことがある。ベルの申し出は一理あるとし、以降はベルのからだに合わせて行為に耽るようになった。とはいえ覚えたての快楽にのめりこみすぎて我を忘れ、お互いにバテてしまったこともなくはなかったが。
     ベルは疲労が溜まるとすぐに睡眠状態に陥ってしまう。これも好きになれないヴィータの肉体的な欠陥だ。俺とベルのヴィータ体は同じアーキテクチャを使用しているはずなのだが。
     そして、空腹感だ。体力の回復や肉体の維持のために食料を必要とする。
     食べられるのは主に果実、木の実、茸(これはそのまま食べると毒があるものも数多く存在し、面倒なため避けることが多かった)、獣および類似した姿をした幻獣(幻獣の肉にはフォトンが多めに含まれている)、魚、それから獣の卵だ。
     しかも面倒なことにメギド体の時よりも空腹の頻度が高い。毎日のように食事を必要とするからだは非効率だ、と言っても詮無いこと。可能な限りまとめて食料を確保し、保存用に加工する手間を加えることで、効率化を図った。
     果実や木の実はその点で獲得手段が手軽なため俺もベルも比較的好んで食べたが、肉体を維持するために必要な栄養素が足りないからと獣の肉も勧められた。
     大型の獣を仕留め、皮を剥ぎ、肉を削ぎ落とす。ぐにぐにとした触感は正直あまりよくなかったし、血を含む生臭さはヴィータ体においては少々不快に感じた。
     さらに面倒なことに、肉は保存に不向きであることがわかった。削ぎ落した肉をねぐらに持ち帰り放置しておくと、果実に比べあきらかに腐敗が早かった。
     これには俺もベルも頭を抱えた。
     毎日狩りをしてもいいが(否、面倒だから効率化を図っているのだが)、大型の獣ではどうしても二人で食べきれない量になってしまう。小型の獣を狙おうにも、こいつらはすばしっこく身を隠すことに長けており、下手をすれば何日も姿さえ見つけられないことがままあった。
     考えた結果、大型の獣を仕留め、その肉をなんとか長期保存させることを検討した。
     それなりの試行回数を重ねた結果、表面を煙で燻して乾燥させる方法と、氷で冷やした密室で保存する方法がそれなりに有効であるとわかった。
     また、肉はそのまま食べるよりは炎で表面を炙った方が食べやすいこともわかった。この際に、炙ると香りの出る枝があったり、肉を食べやすくする香りのある葉があることもわかった。もっともこれは、ベルが、人に肉を勧めてきたわりに自身ではあまり積極的に食べようとせず、また量も俺に比べて少ないことを問題視し、少しでもベルが食べやすいようにしようと思ったためだった。曰く、俺とベルではからだの維持に必要な肉の量が違うのだからこれで問題はない、とのことではあったが。
     さてこれらの努力が実を結び、以前よりも食糧確保にかける手間を削減することに成功した俺たちは、晴れてふたりだけの退廃的行為に思う存分耽る時間を確保した。
     ベルとからだを合わせて交わり相手を堪能し尽くす。からだが疲労を覚えたところで休息を兼ねて保存しておいた食料で食事を摂る。それからまた行為を再開する。合間にベルは眠り、俺はその隙に外へ出て戦争に赴き、いくばくかの食料を得て帰還する。この生活を繰り返していた。
     およそメギドらしからぬ行動であることは理解していた。ただ、からだの接触自体は好むものの、性行為にあまり積極的に見えなかったベルが、次第に自ら俺を求め、腰を動かし、もっと、もっととねだる姿に、えも言われぬ快感と優越感をおぼえた。最初はちいさな好奇心から始まった行為だが、俺自身もそのとりことなりつつある。ビルドバロックが否定され、忌避されるのも無理はない。これは俺とベルの間だけにあればいい。メギドラル全体がこの特別な共感性を認識する必要はないと、心の底から思う。種の滅亡を招くだろう。
     いく度目かのまぐわいの末に互いに果てた。火照るからだをよこたえつつ、それでも離れがたくて唇を寄せて啄んでみたり、あるいは互いの指を絡めては意味もなく笑ってみたりしていると、ぐう、と気の抜ける音がどこからともなく聞こえる。
    「そういやしばらく食ってなかったか。いつぶりだ?」
    「さあな。結構前じゃないか」
     メギドは長命ゆえに時間感覚に疎い。ふたりが一糸まとわぬ姿でたわむれ始めたころ、外の明るさはどれほどだったか。以前に比べ光の感覚が強くなったとはいえ、雨風と他者の視線を気にせずに過ごすために設えたこの簡素な住居は、時間による光の変かをあまり感じさせない。何もなくては見えはしないからと炊いていたオイルランプも、どうやら燃料切れでいつのまにか消えているようだった。
     名残惜しそうにする指をほどき、壁を隔てた先にある食糧庫へ赴く。いくつかの果実と木の実、干し肉を持ってベルのもとへ戻る。
    「とりあえず食おうぜ」
    「……めんどうくさい。眠い……」
    「食えって。また起き上がれなくなるぞ」
     最近のベルは特にこうだ。盛り上がっている最中はそうでもなさそうなのに、いざ事が終わるととたんに何もしなくなる。今は意識があるだけましだった。
     のろのろと上体を起こすベルに赤い色が印象的な果実を一つ渡す。これはかなり酸味の強い果実で、俺はあまり好まないがベルが以前にこの刺激も悪くない、と楽しんでいたものだ。
     受け取りはしたものの、本人はそれを口に運ぶでもなくぼうっと眺めている。
     手首をつかんで口元へ運んでやるも、本人にやる気がない。これはダメだと諦め、別室から小ぶりのナイフを持ってくる。ベルがこういう状態になったのは初めてではない。
     果物をひと口で食べられる程度の大きさに切り分け、口まで運んでやる。
    「ほら。ちゃんと噛めよ」
     ここまでしてやれば、おっくうそうではあるもののもぐもぐと顎を動かすーーはずだった。しかし今回に関してはそれすら厭わしいようだ。
    「オマエなあ……こんな限界になる前に言えって」
    「調子に乗りすぎた」
    「調子に乗ってた自覚はあるのかよ……いや、気づけなかった俺も悪ぃな」
    「いや……私がオマエに求めている……の……だ……」
     そこまで言うといよいよ前後不覚の様相を呈している。
    「あ~~もう、寝るな寝るな。先に食えって」
    「ん……」
     はじめのひと口はなんとか飲み込んだようだが、後が続かない。どうしたものかと途方に暮れていると、ベルの方から口を開いた。
    「食べさせてほしい」
    「は?」
     いやそれはもう既にやっている、と口にした矢先。
    「もう咀嚼をする気力がない……オマエが咀嚼したものを私に口移しで食べさせてくれ」
     曰くそのようにして生まれたばかりの個体に給餌する動物がいる、と。
     求められて応えない俺ではない。ベル用に切り分けた果実を口に含み、飲み込まないようにして咀嚼する。途中、何故こんなことをしているのだろうとか、相手がベルじゃなきゃ絶対やらねぇとか、そもそもこの行為自体もなんだか奇妙でくすぐったく思う気持ちが去来するが、全て無視した。
    「ん」
     俺が示すと、あ、と口を半開きにしてこちらに差し出してくる。情交の際にそうするように、舌に乗せて唾液ごと流し込んだ。ベルがそれを飲み込むのを確認してから、残りの分も同じようにしてやる。
     無防備な信頼を差し出して俺を求めるこいつを、破壊したくなる衝動を抑えるので精一杯だった。
     ようやく果実一つ分を食べきったところで、いよいよ昏倒した。すうすうと寝息を立てる姿を確認し、からだが冷えないように作った綿入れを乗せてやる。
     水浴びをしようと立ち上がったところで、自らの股ぐらにあるモノが存在感を示していることに気が付いた。
    「俺もあいつのこと言えねぇよなあ……」
     嘆息するも、俺はひとりで自分を慰める行為があまり好きではない。なんとはなしに虚しさを覚えるからだ。
     冷たい水でも浴びればいずれ収束しよう。ついでに水瓶も満たしておこう。
     大罪同盟の一角を担うメギドがふたり。
     片や戦争をあまり好まず、表立っての戦果はあまり知られていない。早期からヴィータ体を模倣する特異性を持ち、特別な共感性を求めてこの俺、サタンをたぶらかしたもの。
     片や現メギドラル最強とも噂され、数々の戦争で名を馳せ、あまたの畏怖と尊敬と羨望と憧憬を向けられてきたもの。
     戦争が当たり前に行われ、それにより価値が定められるこのメギドラルで。本来であれば評価を行う立場にあるメギドが、このような退廃的な行為に耽溺した挙句、甲斐甲斐しくも何から何まで世話をしているというのはあまりにも滑稽と言うほかなく。
     果たしてこれは、ヴィータ体を得たことによる変化か、それとも相手がベルだからこそなのか。俺たちは発生したときからこうなる可能性を秘めていたのか、それとも俺とあいつが出会ったからこうなったのか。
     特別な共感性とは主観でしか観測できない。しかしそのカタチを知らないからこそ、今はただ肉欲に溺れるばかりなのか、それとも既に求めたものを得ているのか判別は自分でも難しい。
     俺はあいつの望んだ『俺』でいられているのか。いつも自身が力尽きるまで俺を求めるも、どこか何かが満たされないような顔をしていることには気が付いているが、その感情の意味は理解できず。尋ねたことはあるが明瞭な答えは得られず。頑固なベルのことだから、一度言わないと決めたことなのであればそうそうに口を割るはずもなく。
     それならばとせめて求められるがままからだを寄せ、ぬくもりを分かち合うことしかできない己の無力さに歯を噛みしめながら。
     俺は火照りすぎたからだを、ひとり湖に沈めた。
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