駄犬(入大)「薫サン1回ワンと鳴いてくれませんか?」
夕食も終わりのんびりと今のソファに2人並んで腰掛けテレビを眺めていた時、入縄が大内の方をじっと見つめて唐突に強請れば大内はあからさまに嫌そうに眉間に皺を寄せる
「理由だけは聞いてやる」
すぐにでも断りたい所だが恋人のおねだりとなれば理由くらいは聞こうと眉間の皺を伸ばし溜息をつきながら入縄の言葉を待てば、入縄は一旦海賊が出てくる映画を写すテレビを眺めて
「いえ、昔のことを思い出しまして…懐かしく思ったんですよ。今は飼い犬になる気はあるのでしょ?」
昔の事といえば、2人の前世の話を指しているのだろう…運良く2人とも昔敵対していた事を思い出していた為すぐに話は通じるのだが、大内は更に頭が痛くなる感覚に襲われ顳顬を軽く撫でた
「あーあれか…別に今は飼われても良いくらいには好きだが…あれを思い出してからそれを言うのはな…」
大袈裟なほど大きく溜息つくと入縄の肩へと肩をやり少し体重をかけて、甘えるような口振りで話を続ける
「恋人…じゃだめか?」
交際を始めて幾日か経っているため今は甘える事も出来るのだろう、大内が入縄の願いを断る時の常套手段だ。
しかし、今回は譲れないのか大内の頭を緩く撫でて優しげな口調で
「恋人が聞きたいと言っても…ダメでしょうか?」
言葉に重ねるような言い回しにグッと声を漏らして頬を赤らめてしまう、大内があの時から頭を撫でられるたり甘やかされる事に弱いと知っているのか入縄はわざとそういう態度をとれば、暫く目線を下げて黙っていた大内は立ち上がり入縄の足の間へと座ればおずおずと見上げるようにして
「わ……わん」
と小さく鳴けば入縄の言葉を羞恥心で震えながら待つと、ゾクリと背筋震わせ興奮したかのようにいやらしく笑みを浮かべる入縄が目に入り大内は呆れつつも少し期待してしまう
「海軍様…?」
そう呟けば頬へと掌が触れそのまま可愛がるかのように撫でられる屈んだ入縄から額へと口付けられる
「よく出来ましたァ…海賊サン」
その言葉に期待はさらに膨らみとろりと熱っぽい視線になれば入縄の太腿へと軽く頬擦りをし
「躾……してくれるか?」
「仕方ないですねぇ」
あの頃とは考えられないほど甘く感じる言葉に大内は入縄の首へと手を伸ばしそのまま抱きついた。