無題(入大)「あ、大内だぁ…!久しぶり」
「本当だ、元気してた?」
大内と入縄が食材の買い出しに街を歩いていると若い女性二人が大内へと声を掛ける、女性の格好は肩を露出しておりスカートもタイトなもので女性らしい体型を主張したもので如何にも遊んでいそうな風貌だった。
口振りからして大内と知り合いなのだろう少し面白くないと目を細める入縄とは逆にきょとりと2人を見詰める大内
「ああ…いつぶりくらいだ?」
数秒してから2人の調子に合わせるように言えば女性達は大内と入縄を見つめながら少し高い声で楽しげに会話を続ける
「えー?たしかぁ、半年くらいぶり?最近全然遊んでくれないじゃん、寂しかった」
そう甘えた声を出した方の女性は大内の二の腕へと馴れ馴れしく触れてにこりと笑う、大内はちらりとその手を見た後
「あー、悪い…そういうのはやめたんだ」
手の甲へと軽く触れてそれを静止するが女性が辞めるはずもなく更に腕に絡めるようにして、下品にも胸を押し付けより密着すれば恋人がこんなにも言い寄られている所を良しと出来るはずもなく入縄が口を挟む
「薫サンそろそろ…」
「えっ、薫って大内の名前?」
言葉を遮った女性は少し目を丸くして大内へと少し顔を寄せる
「えー綺麗な名前じゃん!なんで教えてくれなかったわけ?」
ああ、そういえば大内は名前にコンプレックスがあり余り人には教えるタイプではなかったな…と納得しつつも馴れ馴れしい様子に自然と目線のみ冷ややかなものになる、そんな入縄の腰を抱き寄せて大内は頬を肩へと擦り寄らせる
「特別な奴にしか教えてねーからな、悪いがこれ以上旦那を待たせる訳にはいかないんだ。じゃあな」
形だけの笑みを浮かべて大内が女性へと伝えれば、これ以上は脈が無いと流石に分かったのか2人とも離れて言ってしまった。
それを見送ればサッと入縄から手を離して歩き出す
「……ごめん、こんなとこで…」
入縄の方を見ずに言われる謝罪は耳の赤みで見せられる顔ではないのだと容易に想像出来る、1歩前を歩く大内の隣を歩こうと入縄は長い足を伸ばしほんの少しだけ早く進めばすぐ横には顔を真っ赤にする大内が目線を下げて気恥しそうにしている
「……見るな」
「何故ですか?…可愛い奥さんの顔を見せてくださいよォ」
からかい混じりに伝える入縄を睨むように見上げるが直ぐに目を丸くしてじっと見詰める
「…そんなに、嬉しそうな顔すんなよ。」
想像とは違う笑みを浮かべる入縄に照れくさそうに呟けば手を伸ばし恋人繋ぎをしようと指を絡めれば、にまりと笑いながら少し甘い声で
「今日は抱かれてやってもいいぞ?」
「抱いて欲しいの間違いでは無いですか?」
そう冗談を互いにいえば楽しげに談笑しつつ買い物の続きへと向かった。
オマケ
「おい、何乗ってんだ?」
「いやですねぇ…さっき抱いて欲しいって言ってたじゃないですかぁ」
「言ってねーし、あれは冗談だ…疲れてるんだから寝かせろ」
「……素直にして差し上げても良いんですよ?」
「脅すんじゃねぇ」
「あーあ、先程は凄く傷ついてしまいましたぁ…旦那の前で他の方といちゃつくなんて」
「情に訴えるな」
「…強情ですね」
「互いにな」