葬儀屋の紫苑4話
「やぁ、息災かい?」
いきなり仮眠室に入ってきた白髪の女は笑顔で言った。
「あ、はい」
よそよそしい俺の反応に、女は笑顔のまま眉を少し下げると椅子を俺のベッドの方に近づけ座る。
「聞いたよ、ここ二週間ずっと仮眠室に閉じ込められてるんだってね。」
その通りである。例の少年と出会ってから二週間、騰蛇隊に朱雀隊に続き、空狐隊や佑夏。清蓮にひめちゃんに質問責めされた。さらに少年から受けたであろう電撃が体に影響を及ぼしていないかの検査で家に帰れずじまいだ。
「えっと…」
「やっぱり僕のこと分かって無かったみたいだね。天樹零だよ。一応警視監をやってるんだけど」
「じょっ」
上司だった。
「あぁ、そんな身構えないで道國兄さん。葬儀課においての僕の立場は他の隊と同じなんだからさ、零って呼んでよ。兄さん」
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