「どれから飲もうか、迷っちゃうね。」
「迷っちゃいますね。困ったなぁ」
「困っちゃうねぇ」
ルークの家について買ったものやら借りたものやらを整理して一息ついて、ダイニングテーブルにありったけの酒と料理を広げた。
二人並んで座って、全然困っていない顔で茶番を繰り広げる。
「乾杯に合ってそうなものってありますか?」
「そうだな、シードルとか? 瓶そのまま飲めるし、炭酸入りで比較的さっぱりしてるし、とりあえずビールってのと似たノリで飲むのに向いてると思うよ」
赤色ラベルにリンゴの絵が描かれた小さい瓶の一つを渡す。
回して開ける栓はすんなり開いた。
「わあ、リンゴのいい香りがしますね。」
「それじゃ」
「「乾杯!」」
零さない程度に瓶をくっつけ、乾杯の後、自分でも飲むが、正直ルークの反応の方が楽しみで仕方がない。
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