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    Syo235342399

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    進まないろまぷ

    ロマ普序章
    時は、刻一刻と進んで行く。
    川に流れる水の如く、時に流れは激しく、時に流れは緩くなる。
    しかし、その流れは一時も途絶えることはなく、どんなに遅くても流れは止まることは無い。

    流れる水を枯らしてしまった者を除いて。

    神は悩む。彼を現世にとどめるべきであるか、そうでないかを。彼は元々特異な存在であった。「国」として生まれるよりも早く生まれたのだ。神が生を与え、成長を見守っていく対象であった。親という訳では無いが、見守ることは少々暇つぶしになる。神がそのようにして生を与えたのは多くあったが、現在になるまでに残っていたのは彼一人だった。奇跡というのか偶然というのか、消えないギリギリの線を辿ってきている。
    だが、彼も存在が危うくなってきている。彼の中の「水」がなくなってしまったのだ。普通ならここで彼の存在も消えることとなるが、彼の基盤は消えていない。彼がその基盤を再び「認識」することができれば彼はまだ生き続けることができるのである。

    神は彼に試練を与えた。彼が生きるか、消えるかを決めるたったひとつの試練である。簡単に見守るもの暇つぶしをなくしてしまうのは、面白くなかったのだ。


    「さて、彼、彼らは答えにたどり着くことができるかな?」
    二月十四日
    「お兄様!」

    道を駆けてくる恋人に頬を膨らましながら

    「おせーよこのやろー!」

    と罵声をあげる。
    だいぶ焦ってきたのだろう。日光に反射して輝く銀髪はところどころ乱れており、今は冬だと言うのに白く美しい肌には汗がでてきている。まあ、この辺りに人、というかカップルが溢れているから、その熱気にも影響されているのだろう。ロマーノ自身も少し暑く感じていたのは事実である。

    「すみませんお兄様、ここに来るついでにある店よってたら結構時間がかかっちまった!」
    「ったく、いつも時間通りに来るお前が遅れるなんて何かあったのかと思ったぞ、心配させんな!」

    俺よりも大事なついでってなんなんだよ…などとぶつくさ言いながらロマーノはプロイセンの手を引いて人混みの中を歩いて行く。

    「今日、バレンタイン、ですよね?」

    人混みから抜け出したところでプロイセンが遠慮がちに話しかけてきた。

    「そうだな、だからこの日にデートしようって話してたじゃねえか」

    プロイセンは頬を赤らめながらお兄様、これ…と紙袋をロマーノに差し出した。

    「日本では好きな人にチョコを送るって日本から聞いたので、お兄様にあげようって思って、」

    紙袋をよく見るとそれはチョコレートが美味しいと評判の店であった。これを買うためにわざわざ並んでくれたのかと思うと自分を待たせていたというイライラもすっかり収まってしまって、Grazieと言いながら素直に紙袋を受け取った。
    ふと、自分がプロイセンにあげれるものがなかったことに気づいた。交換しようなんて約束もしてないし仕方がないと思わなくはないが、愛しの恋人に何も無いなんてな…と思った。

    「なあ、これ、今から一緒に食べようぜ」

    手には美味しいと評判のチョコレートがある。目の前には恋人。それはお兄様のだから…というプロイセンに、一人で食べるよりもいいだろ?と問いかけながら近くにあったベンチに座る。

    「どうせお前の分買ってなかったんだろ?それに俺だけが貰ってるし」

    言いながら包装を開けていく。随分高そうなやつだな。そう思いながら箱を開けると甘い香りが放たれ、色々な形の1口分くらいの大きさのチョコレートが8つほど収められているのが見て取れる。 よし、ちょうど4つずつ食べられるな。 鼻をかすめる上品な甘い匂いはプロイセンのところにもやってきたのだろう、視線は控えめにではあるが箱の中へと注がれている。

    「美味そうだな、ほら、4つずつ食べようぜ」

    迷い気味にではあるが、ロマーノの押しと甘い香りに負けたのだろう。こくりと頷いた。ロマーノはそれをみてチョコレートをひとつ取りプロイセンの口元に持っていった。

    「お、お兄様…!?」

    俗に言うあーんをするロマーノにプロイセンは顔を真っ赤にしていた。

    「いいじゃねえか、こっちの方が上手く感じるだろ?ほら、食べろよ」

    俺が食べちゃうぞなんて言いながらチョコレートをプロイセンの口元に近ずけていくが、元々お兄様にあげたものだし…!と言いながらぱくりと食べた。口の中に広がる上品でいて無邪気な甘さとあとから感じるほろ苦さが絶妙なバランスで溶けていく。プロイセンが思わず頬を緩めるとロマーノは満足気に笑って

    「今度は俺にくれよ」

    と口を開けた。どんなお兄様も綺麗だななんてぼんやり思いながらプロイセンもチョコレートをロマーノに食べさせた。

    「やっぱうめえ、Grazie」


    そうこう、キャッキャウフフな甘いやり取りをしているとあっという間に箱の中身は空になった。

    「もうなくなっちまったな」

    少し残念そうに呟くと

    「俺様に分けたからでしょう?」

    とプロイセンが言うのでそういうことじゃねえ、と小突くと、プロイセンはケセセと無邪気を含んだ声色で笑った。

    「そろそろ行くか、」

    元からの予定であったローマの案内をするためにそう言って立ち上がろうとする。
    瞬間、視界が暗転した。
    謎の部屋
    硬くひんやりと冷たい床に感覚に目を開ける。

    「……」

    自分はどうしてこんなところで寝ていたのだろうか?さっきまでプロイセンとチョコレートを食べていたはずだよな?そう考えながらちらと周りを見る。花のような模様の床に、左右には綺麗に整列している長椅子。教会だろうか、少し神聖な雰囲気も感じる。ふと、自分より前の方にプロイセンが倒れているのを見つけた。

    「…っプロイセン!」

    ヒヤリと何かがロマーノの心を突いた。急いで駆け寄ると、プロイセンはゆっくりと目を開けた。

    「お兄様、?」

    少し寝ぼけているようでぼんやりしている。特に異変がないようでロマーノは安心した。
    しかし、顔をあげると祭壇の上には異様な光景があった。

    「っ!?」

    ロマーノの様子に、完全に目を覚ましたプロイセンも祭壇の方を向く。
    そこには二十センチ程の大きさの砂時計が二つ浮かんでいた。
    ものが勝手に浮くはずがあるのだろうか?いや、現在の時点であれほどの大きさの物体を浮かせる技術はなかったはずである。立体映像というわけでは無さそうだ。

    「なんだ、あれ…」

    プロイセンがそう呟いた。

    混乱していても仕方がないと改めて周りを見る、と言うよりかは見なかったことにしたいと思い目をそらすついでに周りを見たのだが、前方には祭壇とステンドグラス、サイドには長椅子が並んで置かれていた。ただ、両サイドのいくつかの長椅子には本や何か布のようなものなどが置かれており、背後には普通あるはずの扉がなく、出ることができなくなっていた。窓があるにはあるが、さすがに二人とも割るのは気が引ける様子であった。

    「なあ、どうする?」
    「どう…って言われてもな…出る手がかりを探しましょうか」
    「そうだな」

    とりあえず、と二人は長椅子に置かれているものを集めた。

    「剣と、祭服…これは、お前が騎士団だった頃の正装か?」
    「そう、だな…あと聖書と、便箋と俺様の日記があります」

    なんで日記がこんなところに…と疑問に思いながら表紙をめくると、ちょうどプロイセンが騎士団であった頃のことが書かれていた。

    「剣に騎士団なんて誓いでもすんのかってな」

    ロマーノが冗談っぽく言った。

    「そういえば、俺様が騎士団の時に騎士の誓いをしたのも教会でしたね」
    「そういえばな」
    「あ、日記にもちょうどそんときのことが描いてあるぜー」

    懐かしいといった様子でプロイセン日記をめくっていった。
    あの頃は、俺もお前も小さかったよなとロマーノが呟いた。少年ほどの小さな体で周りを真似て誓いをしたのを二人は思い出す。お互い変に大人ぶろうとして、逆に笑われちゃったよなと昔を懐かしんで笑った。
    砂時計
    「そういえばこの封筒はなんなんだろうな、お前は見覚えあるか?」
    ひとつの白い便箋
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    Syo235342399

    MAIKING小ネタで1000文字くらいにしようと思ってたら導入部分で3000文字超えちゃったので普通にシリーズにしようかとしてるものです。モチベ上げのためにぽいぽい。年齢操作、現パロ、一般人、死ネタ(?)などが含まれています。長い間放置してたので繋がってないとこあるかも。
    ロマ普未満珍しい容姿を持った子供がいた。光を受けてキラキラと輝く銀色の髪にガーネットのような紅の瞳を持つ子供だ。
    ある人はそれを神の使いだと言い、ある人は奇跡だと言い、
    またある人は悪魔だと攻撃した。老人のそれのような廃れた灰色の髪だと言った。血の色をした残酷な目だと言った。
    その少年は不幸にもその少数の人々に罵られ、殴られ、ついには命を落とすこととなってしまった――



    「……ケ・バッレ」
    いつものように寝坊してしまったロヴィーノはそう独りごちた。朝からヴェーヴェーと騒ぐような弟とは離れて今は1人で暮らしているロヴィーノは、あれほどうざったかった弟にもあの頃はだいぶ助けられていたんだなと今更になって思う。それはそうとしてまずは会社に遅れないように早々と支度をする。もはや余裕のある朝など久しくなってしまった。多少遅刻には寛容な会社ではあるがそう何回も許してくれるほど甘くは無いのだ。最近何か小言を言われることこそないものの、周囲の視線は段々ときつくなっている気がするのだ。気がするだけなのかもしれないが多分気のせいではないだろう。今日こそは遅刻しねえ…いや出来ねえ!と思いながら数年ぶりに本気を出していつもは欠伸をしながら歩いて行く道を走った。住んでいるところからそう遠くないからと出勤手段に歩きを選択してしまったロヴィーノは過去の自分を少し恨んだ。
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