一目見た瞬間、今までにない胸のざわめきを覚えた。こんなに心惹かれる人間がこの世にいたなんて。堂々と振る舞う姿。臆することなく自分の意見を貫き通そうとするその姿勢。僕には眩しすぎる人。自分にはないものを沢山持っていた。
この人は消したくない。理屈なんて知らない。ずっとそばに置いておきたい。だから嘘をついた。2人で生き残るために。
「船の次元振動センサーを集中させれば、固有の次元波を…… 。うん。グノーシアの個人検知、できますね。あ、僕はその……エンジニア、です」
次の日、議論が始まってすぐに、ラキオさんは人間だったと報告した。少しでも他の人から疑いの目を向けられないように。エンジニアを騙っていることがバレないように次元波の測定結果だなんてそれらしく適当なことを言ってしまったけど、機械に関しては人一倍詳しい自信は…ある。間違ってはいないはず。大丈夫、バレてなさそうだ。
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