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    いっちょぎ

    色々やらかす腐った大人。
    現在は休暇。に大ハマりして、リゼルさんを愛でつつジルリゼを愛して精ゔんを可愛がっております。

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    いっちょぎ

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    続き。
    一番書きやすいノリです。
    精鋭さんと何気に独占欲の強めなゔんちゃんです(笑)

    その男、危険物につき-2- ズズーン……と鈍い爆発音と共に屋敷全体が震えた。同時に地下室の天井からぱらぱらと埃が舞い落ちる。
    「な、何事だ?!」
     地下室で両手両足を鎖で繋がれ、恐怖を与える為か、わざとゆっくりと小さなナイフで着ていた服を切り刻まれ、かろうじて服の残骸が繋がれた手首と足首にだけ残された全裸の男を、好色な笑みを浮かべて見つめていた主は、鞭を手にハッとしたように天井を見上げた。小刻みに揺れる振動は、この屋敷で『主』として生活を始めてから一度もなかったものだ。驚いたように目を見開いて忙しなく視線を飛ばす主を横目に、男は引きつった笑みを浮かべた。
    「…………来た」
     彼が来た。
     表向きはまるで悪戯っ子のような楽し気な表情ながら、しかし内に邪魔するものを全て焼き尽くさんばかりの憤怒の炎を抱えた彼が、男を助けに……いや、その男の命を危機に晒しにやって来た。
    「何だ?! 何が来るんだ!?」
     低い呟きに弾かれるように男を振り返った主をちらりと上目で見て、男は諦めのこもった笑みを浮かべた。説明したところでどうせ解らないだろう。あれは、実際目の当たりにした者だけが知る恐怖だといっても良いからだ。その間も、小刻みに震える振動と屋敷の警備をしている男等の悲鳴は近付いてくる。
     まさかこの事態が、あのやたら色気のあるしなやかな細身の男一人によって引き起こされているなど、普通の人間は考えもしないだろう。
     だが、男は知っている。それこそ身をもって知っている。
     時にどんなものにも形を変える水のような、しなやかな見た目とは裏腹に、時に男を超える程の、何もかもを燃やし尽くさんばかりの激情を内に秘めている彼の気性を。
     そしてその激しい気性は、時に、彼にとって一応情を交わす間柄であるはずの男本人の命をも脅かす事さえある事も。
     既にほぼ全裸の状態にされてしまっている男は乾いた笑みを浮かべると、
    「……もう手遅れだ」
    「その通り。もう遅ぇな」
     低い男の言葉尻に被せるように、突然艶っぽい声が割り込んだ。
     ハッと弾かれるようにこの地下室に出入り出来る唯一の扉に目を向けた途端、分厚い扉を支えていた蝶番がバギャン!と音を立てる。そのまま、扉は『扉の姿をした一枚の板』となって、ゆっくりと部屋の中へと倒れてきた。ぶわ……と舞い上がった埃の向こうにほっそりとしたシルエットが浮かび上がる。
    「だ……っ、誰だ!?」
    「よぉ、主様。夜遅い時間に邪魔して悪ぃな」
     すたすたと硬い石畳を叩く足音と、何か重たいものを引きずる音、そして、やたら艶っぽい声。
     ゆっくりと舞い上がった埃が再び床に落ちると、そこには舞い上がった埃に顔をしかめている、一人のすらりとした細身の男。ここへ来るまでにさすがに避けきれなかったのか、着ている服はあちこち小さく破れ、頬についた傷から血が溢れている。それをぐい、と乱暴に拭う右手には、先端から血を滴らせている剣が握られていた。左手は警備を担当していたはずの、主の部下である男の襟首が掴まれている。部下はここへ来るまでに相当の恐怖を味わったのだろうか。白目を剥いて口の端からは泡を吹いていた。
    「お、……お前……っ!? 何故……?!」
    「よぉ。随分楽しそうじゃねぇか」
     男……イレヴンは、予想外の人物の登場に裏返った主の声を綺麗に黙殺すると、天井から垂れ下がっている鎖に手足を繋がれ、今や全裸になっている男をちらりと見てにっこりと笑みを浮かべた。
    「……楽しそうに見えますか」
     それはそれは楽しそうな笑みを浮かべているが、男を見た途端、イレヴンの頬がひくり、と引きつった事を、男は見逃さなかった。
     怒っているどころの騒ぎじゃない。心底怒れば怒る程、イレヴンは明るい笑みを浮かべて、その声は艶を増す。
     それが男をこんな目に遭わせた相手に対するものならばまだ良いが、大概は男本人に対してイレヴンは激怒する。この程度の相手に捕まるとは何事だ。彼の目は少しも笑わず男を睨み付けていた。
     イレヴンはふん、と小さく鼻を鳴らすと、掴んでいた男の襟首からぱっと左手を離し、何を言えば良いのか解らず、口をぱくぱくさせている主の許へと足を進める。
     びくり、と大きく躯を震わせて、だがそれ以上動けない主の顔を腰を折るように下から覗き込みながら、真顔でつい、と左手を上げると、

    「悪ぃんだけど、アレは俺のモンなんで、勝手に触らないでくれねぇか?」

     それはそれは艶っぽい声でそう言って、イレヴンは壁に繋がれている男の股間を寸分違わず指差した。
    「な……に……?」
    「頭あああぁぁあぁあぁぁぁああぁ!!」
     一瞬、何を言われたのか解らなかったのか、目を瞬く主の声に男の絶叫が被さった。だが、イレヴンの表情はどこまでも真剣だった。
    「アレは今までもこの先も、俺だけのモンなんだよ。アレを好きにして良いのは俺だけなんだ。他人には触らせる事はおろか、見せるのも嫌なんだよ。解るか? アレは、お・れ・の・た・め・に・あ・る・モ・ノ・な・ん・だ・よ!」
    「アレアレ気安く連呼しないで下さい!」
    「うるせぇな! ソレはお前のモノでもねぇんだから、黙ってろ!!」
     アレやソレ、と言う度に、一々男の股間を指差すイレヴンに、珍しく見るも可哀相な程真っ赤になった男の悲鳴を一蹴して、イレヴンは「解るか?」と主の顔を覗き込む。
     呆然とまくし立てるイレヴンの言葉を聞いていた主は、ようやくイレヴンの台詞を理解出来たのか、不意に真っ赤になると、地団駄を踏んでイレヴンと同じように男の股間を指差した。
    「何を言うか! アレは儂のモノだ! 儂が楽しむ為のモノだ! これから存分に可愛がってやるのだから、部外者は出ていけ!」
    「誰が部外者だ!? アレの所有者は俺だ! アレで楽しんで良いのは俺だけだ!!」
    「いっそ殺せ ――――!!」
     男の「アレ」を巡って低次元の言い争いをする二人の前で、男はガチャガチャと鎖を鳴らして身悶えをする。二人から指を差される股間を隠したいのに隠せない。これ以上の羞恥があろうか!?
     いっそ死にたい。殺してくれた方が幾らかましだ!
     ―――― 主はともかく、頭は絶対にわざとだ!
     地団駄を踏んで言い争う二人を前髪の内側で涙目で睨み付けると、男は大きく息を吸い込んだ。

    「コレは俺のモノだ ――――!!!」
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    DOODLE貴方は時間があるなら『膝枕をして照れている早野のゆかくら』をかいてみましょう。幸せにしてあげてください。
    #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/524738

    親知らずが痛い皋のためにうどんを柔らかめに茹でる昏見
    #お題ガチャ #男ふたりの色んなシーン https://odaibako.net/gacha/1739?share=tw
     いつも通り昏見は皋宅に忍び込んだ。
     そしていつも以上にむっすりした表情の皋にどうしたのか、と聞いて、返答が返ってきたとき、昏見は泣きそうになってしまった。
    「おひゃしらつがいはい」
     信じがたい滑舌である。
     あの皋所縁が!
     奥歯に物が挟まったような言い方って実際にあるとこんなにフニャフニャなんですね録音して逆タイムカプセルに詰め込んでイケイケだったころの所縁くんに聞かせてあげたいですきっと泣いて喜びますよ、と返してあげると、皋は不機嫌そうな顔をしたけれど何も言わなかった。
    『おひゃしらつがいはい』
     昏見の最新式・皋翻訳機だからこそ意味が分かる。つまり、
    「親知らずが痛い」
     ということである。
    「うーん、親知らずって懐かしいですね。私も昔は毎日屋根の上に投げてましたよ。痛いって事は変な生え方をしているんじゃないですか? はい、あーん」
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