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    いっちょぎ

    色々やらかす腐った大人。
    現在は休暇。に大ハマりして、リゼルさんを愛でつつジルリゼを愛して精ゔんを可愛がっております。

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    いっちょぎ

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    ただ単に、ゔんちゃん、一度だけでも良いから大鎌使ってくれないかなぁ、という自分の萌えを落書きにしてみました。
    もっと短くするはずが、ちょびっと長くなったのでこちらに。
    細かい設定などありますが、取り敢えずパラレルです。
    ゔんちゃんしかおりません。最後まで名前すら出ません。
    でもゔんちゃんに大鎌振るって欲しかったので、私だけは楽しかった、そんな落書きです(笑)

    パラレル 人気のない深夜。
     ふらり、ふらり、とよろめくように明るい満月の下、長い影を伸ばしながら歩く一人の男。
     まるで酔っ払いのような足取り。だが、男の表情は能面のようで、およそ酔っ払いのそれには見えない。
     何より九十度以上に不自然に傾いた首。操られるように不自然にかくん、かくん、とよろめく度に小さく聞こえてくるのはチチチ……、という小さな機械音。
    「こんばんは」
     そんな男に、不意に頭上から降ってきた柔らかな声。
     チチチ……、と金属の擦れる音を立てながら声の主を見上げると、すぐ横にある高い壁の上に黒いフードを目深にかぶり、細い肩に己の身の丈より長い槍を乗せた青年がいた。
     真白い満月を背に、青年はフードを取り去ると、月明りをひっそりと弾く、目にも鮮やかな深紅の長い髪を揺らしながらにこ、と人懐こい笑顔を見せた。
     どこか嘲るような、それでいて滴るような色香を持つまだ年若い青年だ。
    「お兄さん。こんな深夜にどうしたのさ?」
     男はそれに答える事もなく、無言で人懐こい笑顔で見下ろして来る青年を見上げる。
     無言で見つめ合う事数秒。
     不意に見上げる男の瞳がかしゃり、と音を立てると、めりめり、と嫌な音を立てながら男の左腕が裂け始めた。
     ―――次の瞬間。
     黒いフードの青年へ向けて、男の左腕から飛び出した太い金属製のケーブルが鞭のようにしなりながら飛び出した。
     一直線に伸びてくるそれを、肩に乗せていた槍をくい、と小さく振って、ぎゃり、と嫌な音を立てながらケーブルを弾く。勢いに負けてよろめいた男は、だがあり得ない角度に曲がった首のまま青年を見上げると、今度は右腕を裂きながら、肘から下に幅の広い刃を出現させた。
     頭上を見上げたままかくん、と膝を落とし、ぎぎ、と爪先に力を入れると、真っ直ぐに青年へ向けて飛び上がる。右腕を大きく振りかぶり、まだ腰を下ろしたままの青年へ向けて空を切る勢いで振り下ろされた刃を、真上に掲げた槍の柄で受け止めると、白い火花が散った。
    「いきなり乱暴じゃねぇか」
     ぎりぎり、と嫌な音を立てて刃を受け止めながらも、青年は楽しげに目を細めると受け止めていた槍を握り直し、前方へと一気に押し返した。思いがけない力で後ろへ押し返された男は後方へと吹っ飛び、がしゃん、と派手な音を立てながら広い道路へと転がっていく。転がる男の周辺に、小さな歯車やネジが飛び散った。
     それを追いかけるように青年はとん、と壁を蹴ると、頭上でくるり、と長い槍を回転させ、起き上がろうとした男の胸を過たず青白く光る刃で貫いた。
     パッと散る目を焼くような白い火花。
     道路に縫い止められた男は苦悶の表情を浮かべるでもなく、チチチ……、と小さな機械音をさせながら青年を見上げていたが、だらりと投げ出されていた左腕のケーブルがまるで意思を持っているかのように不意に青年へ向けて飛び出した。
    「!」
     咄嗟に首を捻ってやり過ごし、ぱっと間合いを取る為に背後へと飛び退こうとした青年を、小さな機械音を立てながら男が追いかける。左腕を振って右から左から伸びてくるケーブルを次々と槍の穂先で弾き飛ばし、間合いを詰めて振り下ろされる右手の刃を頭上に振り上げた槍の柄が受け止める。ぎりぎり、と嫌な音を立てて、上から得物ごと押し潰そうと人間にはあり得ない力で刃を押し付けてくる男に顔をしかめたのは一瞬。
     青年はひょい、とばかりに片足を上げると、そのまま男の胸を思い切り蹴り飛ばした。勢いに負けてよろめく男に笑顔を見せながら、くるり、と肩で槍を回すと、ぱぁん、と一度穂先で地面を叩き、再び突っ込んでくる男へと大きく踏み込みながら真っ直ぐに槍を突き出した。
     ぎゃり、と嫌な音を立てて槍の穂先が男の左肩を貫き、間髪入れずに槍を引くと、頭上でくるりと回転をさせて、再び一歩踏み込みながら、今度は右肩を青白く光る刃が貫く。
     腕と肩を繋ぐコードを断ち切られ、男の両肩から細い煙を上げながら火花が散って、だらり、と両腕が垂れ下がった。それでもなお真っ直ぐに間合いへ突っ込んでくる男に、青年はとーん、と地を蹴って高く跳ぶと、頭上で身の丈を超える長い槍を構えた。
     白い月の光を浴びた槍の穂先が、ゆっくりと形を変え、一振りの大鎌へと姿を変える。
    「バイバイ」
     にっこりと笑って、青年はそのまま男へと真っ直ぐに大鎌を振り下ろした。
     頭の先から股間まで、青白い光を放ちながら刃が一直線に男を切り裂く。
     火花を上げる回路や複雑に入り組んだコード、煙を上げる動力炉を表に見せながら、男はゆっくりと倒れ伏した。
     二つに分かたれた男であった残骸は、しばしぱりぱりと火花を上げていたが、やがて細く黒い煙を一筋上げて動かなくなった。
     それを無表情に見下ろしていた青年は、まるで重さを感じさせずに、くるり、と大鎌を振るうと、とん、と肩で長い柄を受け止めた。大鎌は再びゆっくりと青白い光を放つ穂先へと戻る。
     青年……イレヴンは再びフードを目深にかぶると、とん、と地を蹴って高い壁の向こう側へと姿を消した。



     残されたのは、真白い満月の光に照らされた「男」であった残骸のみだった。
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