月夜のシンアニ月が綺麗な夜。
導師守護役であるはずのアニスは、ここのところ毎夜仲間達の元を抜け出しては六神将のシンクと密会していた。ただし、密会というにはあまりに艶がない事務的なやり取りだが。導師イオンの動向をシンクを通じてモースに報告するのだ。今夜もいつも通りに定期報告がなされる。
「ーー報告は以上です」
「そう、わかった。明日も指定の場所で」
淡々と報告内容を読み上げたアニスがふと顔を上げると、ひらりと揺れる紐が目に入る。
シンクの衣服に巻き付けられているそれが、戦闘の度に彼の動きに伴って軽やかに舞うのをアニスは知っていた。
「……何。早く行きなよ」
なんとなく気になって見ていたら、訝しげに去ることを促されてしまう。
「……わかりました」
明日もこうして会うことになるのだろう。
主であるイオンの顔を思い浮かべ、ちくちくと胸を刺すような罪悪感を覚える。それでもアニスは役目を果たさなければいけない。
次にシンクと会うときが互いに戦うときだったらいいのに。
そう思いながら、アニスは仲間達の元へと戻っていった。