メイド喫茶で働く坂田の話(高銀)メイド喫茶といえば、オタクくんに向かってメイドさんが萌え萌えきゅんとオムライスにハートを書いたり……なんてテンプレートも今は昔の話。
世は戦国メイド喫茶時代。生半可な店は生き残れない。
それぞれが武器を持ち、戦うことが強いられているのだ。
「おかえりなさいませ、ご主人様♡」
可愛らしい声と笑顔で迎えてくれる
カウンターに並ぶのは可愛らしいぬいぐるみやお菓子などではなく、焼酎や日本酒、ウィスキーといったゴリゴリ酒瓶たち。
メイド喫茶というか、メイド居酒屋である。
客層もオタクや物見遊山の観光客のほかに、仕事帰りのサラリーマンという風体のおやじたちがガーリックサイコロステーキをつまみながら酒を飲んでいる。
「お客さまー、メイドの生搾りレモンサワーでございます」
1119